「こどもの日、どうやって飾ればいいのかな?」
最初にそう思ったのは、娘が保育園で作ってきた“こいのぼり”を持ち帰ったとき。嬉しそうに「飾って!」と言われたものの、どこに?どう飾るの?と戸惑ってしまいました。
私自身、こどもの日といえば“男の子の節句”というイメージが強く、女の子には関係ないのかなと思っていた部分も。でも調べていくうちに、家族でこどもの成長を願う大切な行事なんだと知って、いろんな飾りに込められた意味にも惹かれるようになりました。
この記事では、こどもの日の代表的な飾りとその由来、実際の飾り方のアイデアまでを、わが家の体験も交えてわかりやすくご紹介します。
目次
こどもの日の代表的な飾りとは?

こいのぼり
こどもの日のシンボルといえば、やっぱりこいのぼり。
昔から「鯉が滝をのぼるように、逆境に負けずに強く育ってほしい」という願いが込められた縁起物として飾られてきました。
鯉は流れの速い川でも元気に泳ぎ、滝をものともせずのぼる力強さがある魚。そんな姿に重ねて、「困難を乗り越えて立派な大人になりますように」という親の願いが込められているのです。
わが家はマンション住まいなので、大きなポールを立てるスペースはなく、ベランダに出せるミニサイズのものをネットで探して購入しました。
ポール付きの卓上タイプや、壁に貼れる布製のものなど、最近は省スペースで楽しめるデザインも豊富にあります。
風にゆれるこいのぼりを娘と一緒に眺めていると、季節のうつろいを感じられてなんだか心が穏やかになります。
娘も「あの赤いの、ママのこいのぼり!」と毎年なぜか自分以外の鯉を選んで喜んでいて、季節行事が自然に思い出になっていくのを感じています。
兜や鎧飾り
男の子のいる家庭では、立派な兜や鎧を飾っているご家庭もよく見かけます。
この飾りには「身を守る」「災いを退ける」といった意味があり、武士の守り道具として使われたことから、厄除けや健康祈願の象徴となっています。
また、鎧兜の前立てや装飾には「魔除け」や「成功を願う」意味があるデザインも多く、ひとつひとつに込められた思いを知ると、ただの飾りではないことがよくわかります。
わが家では飾る場所の問題もあって、ケース入りのコンパクトな兜飾りをチョイスしました。
大きさは小さくても、金色の細工や布の質感が美しくて存在感は十分。
娘も「かっこいいね!」と目を輝かせながら触れようとするので、「これは昔の人のヘルメットみたいなものなんだよ」と説明してあげると、ますます興味津々。
最近は女の子にも人気があるようで、性別に関係なく飾りを楽しむご家庭も増えてきていると感じます。
菖蒲の葉・菖蒲湯
こどもの日には、古くから伝わる「菖蒲湯」に入る風習もあります。
菖蒲の強い香りには邪気を払う力があるとされていて、もともとは厄除けや無病息災を祈る儀式として始まったのだそうです。
その由来は中国の薬草文化にあるといわれており、日本では奈良時代から端午の節句に取り入れられてきたとか。武家社会では「尚武(しょうぶ)」の意味にもかけられ、特に重んじられていたそうです。
わが家では、5月が近づいてくるとスーパーや花屋さんで菖蒲の束が売られるのを見かけます。
最初は興味本位で1束だけ買ってみたのですが、お風呂に浮かべると独特のスーッとした香りがして、思った以上に心地よかったです。
お湯に浸かりながら娘と「これ、葉っぱじゃなくて薬草みたいな役目なんだって!」と話していると、自然と行事の意味にも触れられるんですよね。
日常のお風呂時間が、ちょっと特別な体験になるのも、この行事の良さだなと感じます。
最近では、入浴剤タイプの菖蒲湯や、精油を使った香りづけもあるので、「葉っぱが手に入らない」「香りが苦手」という人でも、気軽に雰囲気を楽しめますよ。
飾りに込められた意味を知ると、気持ちが変わる

鯉がのぼる姿は「出世魚」の象徴
こいのぼりの由来は、中国の古い伝説「登竜門」にさかのぼります。
激流をのぼることができた鯉が、最後には竜に変わる――そんな話が、「鯉は出世の象徴」として親しまれるようになったきっかけです。
日本でもこの故事にならい、「どんな困難にもくじけず、たくましく生きてほしい」という思いが、こいのぼりに託されるようになりました。
実際、川の流れに逆らって泳ぐ鯉の姿は、とても力強く美しいもの。
子どもにとって人生の道のりは決して平坦ではないけれど、努力を重ねて夢に向かって進む姿を応援する、そんなメッセージが込められています。
うちの娘はまだ幼いですが、「風がつよい日にこいのぼりが元気に泳いでると、がんばってるみたいだね!」と話してくれたことがあり、自然と意味を感じ取っているようで驚かされました。
菖蒲は「尚武(しょうぶ)」とかけて、武士の守り神に
菖蒲(しょうぶ)という名前は、「勝負」や「尚武(しょうぶ)」といった言葉と読みが同じことから、昔の武家社会ではとても縁起の良い植物とされていました。
とくに江戸時代には、「端午の節句」として男子の成長と出世を願う重要な行事のひとつとなり、武士の家では家宝として鎧や兜を飾る風習とともに、菖蒲を使った厄除けの儀式も盛んに行われていたそうです。
菖蒲の葉には独特の香りがあり、この強い香りが悪い気を払うと信じられていました。
さらにその細くて鋭い葉の形から、「刀」や「剣」にも見立てられ、邪気を斬る象徴としても用いられたといいます。
現代ではこうした武家のしきたりにとらわれず、「子どもが健康で、心身ともに強く育ちますように」という普遍的な願いが込められるようになりました。
わが家では娘と一緒に菖蒲の葉を観察して、「これってお風呂に入れるとどんな匂いかな?」と遊び感覚で楽しんでいます。
知識がなくても、自然に行事に触れられるのがいいなと感じています。
兜や鎧は「厄除け」と「守り」の象徴
兜や鎧は、戦いの場で身を守る大切な防具。
それが子どもの節句に飾られるようになったのは、「災いから子どもを守る」という願いが込められているからです。
特に兜には魔除けの意味が強く、正面についている「鍬形(くわがた)」や、側面を守る「吹き返し」などの装飾には、邪気を払い、子どもの身を守るための願いがデザインに込められているとされています。
現代の兜飾りはデザインも豊富で、豪華な金細工のものから、和紙やフェルトでできた可愛らしいものまで、サイズも種類もさまざま。
「場所がないから飾れない」と思っていた私も、コンパクトタイプの兜を見つけてからは、気軽に季節を楽しめるようになりました。
娘に「これは強い人がかぶるヘルメットみたいなものだよ」と伝えると、「じゃあ○○ちゃんもかぶってみたい!」と興味津々。
こうして行事の中で自然に“守ってあげたい気持ち”を子どもと共有できること自体が、現代に生きる兜飾りの意味なのかもしれません。
わが家で楽しんでいる飾り方アイデア

コンパクトサイズで玄関やリビングに
こどもの日の飾りって、どうしても「大きなこいのぼり」「立派な鎧兜」みたいなイメージがありますよね。でも、実際の暮らしでは飾るスペースに限りがあるご家庭も多いはず。
うちもまさにそのタイプで、最初は「飾れないかも…」と諦めそうになったのですが、ネットで調べてみるとコンパクトでも素敵な飾りがたくさんあることに気づきました。
たとえば、
-
玄関の靴箱の上に置ける卓上サイズのこいのぼり
-
リビングボードにぴったりのガラスケース入り兜
-
保育園で娘が作ってきた折り紙のこいのぼりを一緒に飾る
といったように、置き方を工夫するだけで立派な「わが家流のこどもの日」が完成します。
なかでも折り紙作品は、どんなに小さくても子どもの手作りだからこそ一番心がこもっていると感じます。毎年「去年のも飾ろうか?」と聞くと、嬉しそうに「うん!」と返してくれるのが恒例行事のひとつです。
ウォールステッカーや手作り飾りで気軽に
スペースが足りない場合や、壁に何か飾りたいというときには、ウォールステッカーや手作りの飾りがとても便利です。最近では100円ショップや雑貨店でも、こどもの日用のデザインステッカーが売られていて、貼るだけで季節感がアップします。
さらに、子どもと一緒に飾りを作るのもおすすめ。
折り紙でこいのぼりを折ったり、フェルトで菖蒲の葉を切ったり、紙コップで兜を作ったり。
作る時間そのものがイベントになるので、「親子で行事に向き合う時間」そのものが思い出になるんです。
わが家では、毎年「どんな飾り作ろうか?」と相談してから、色紙やモール、テープを広げて一緒に作業するのが楽しみのひとつ。工作の後に飾る場所を一緒に考えることで、子ども自身も「自分でやった!」という達成感を持てるようです。
菖蒲湯はお風呂に入れるだけでOK
こどもの日の定番「菖蒲湯」は、準備がちょっと面倒そうなイメージがあるかもしれませんが、意外と簡単。
スーパーや花屋さんで売られている菖蒲の束を数本、お風呂に浮かべるだけでOKです。
初めて取り入れた年は「本当にこれでいいのかな?」と半信半疑でしたが、湯船に浮かぶ細長い葉っぱに娘が興味津々で、「なんで葉っぱがお風呂にあるの?」と大騒ぎ。
「今日はこどもの日で、これを入れると元気に育つんだって」と話すと、満足そうに香りをかいでいました。
特別な準備がなくても、日常の中で行事を感じられるのが菖蒲湯の魅力だと思います。
もし菖蒲が手に入らなければ、アロマオイルや入浴剤で“雰囲気だけ菖蒲湯”を楽しむのもアリ。大切なのは「子どもの日を大事にしたい」という気持ちを伝えることなんですよね。
飾りつけの時期としまうタイミングは?

飾るのはいつから?
こどもの日の飾りつけ、いつ頃から始めるべきか悩んだことはありませんか?
明確な決まりがあるわけではないですが、一般的には4月中旬〜下旬あたりから飾り始める家庭が多いようです。
気温もだんだんと上がってきて、空も明るく風が心地よい季節。外にこいのぼりを出すにもぴったりの時期なんですよね。
うちでもだいたい「桜が散った頃」を目安に、「そろそろ出そうか?」と家族で話すのが恒例になっています。
ただし、ベランダや庭に飾るタイプのこいのぼりの場合は、風の強い日や雨の日を避けるなど、安全面にも気を配ることが大切です。
実際、以前うっかり強風の日に飾ったら、ポールごと倒れてしまったことがあり、それ以来「風の穏やかな日を選ぶ」のがわが家のルールになりました。
また、屋内に飾るタイプの兜やミニこいのぼりなどは、少し早めに出してもOK。
飾っている期間が長いと、それだけ季節を感じる時間も増えて、子どもにも行事がしっかり記憶に残るような気がしています。
片付けは5月中旬までが目安
飾り終わったあとの片付け時期も、家庭によってさまざまです。
こどもの日が過ぎたらすぐに片付ける家庭もあれば、5月いっぱい飾っておくところも。
屋外に飾っているこいのぼりは、雨風や直射日光で傷みやすいので、天気を見ながらこまめにチェックするのがポイントです。
「せっかく飾ったのにボロボロになってしまった…」なんてことにならないよう、早めにしまうのもひとつの選択肢。
わが家では「母の日くらいまでに片付ける」とざっくり決めていて、週末の天気がいい日に家族みんなで片付けをするのが恒例行事になっています。
「このこいのぼり、今年も元気に泳いだね」
「また来年も飾ろうね」
そんな会話を交わしながら片付けることで、行事の締めくくりにも温かい時間が流れる気がします。
片付けるときは、湿気を避けて乾燥させてから収納するのが長持ちのコツ。
ビニール袋に密封するよりも、通気性のある不織布の袋に入れて保管する方が安心ですよ。
飾ること=願うこと。わが家の過ごし方

こどもの日が近づくと、「そろそろ飾らなきゃ」となんとなく準備を始めるのが、わが家の毎年の流れ。
でも最近は、飾りそのものよりも「どんな気持ちで飾るか」を大切にしたいと思うようになりました。
行事って、とかく“ちゃんとやらなきゃ”と形ばかりに意識が向いてしまいがちですよね。
こいのぼりを出したか、兜を飾ったか、お風呂に菖蒲を入れたか。
でも、そういうチェックリスト的な感覚に追われると、せっかくの行事が“義務”になってしまう気がして。
だからこそ、私は「飾ること=子どもへの願いを形にすること」と考えるようにしています。
こどもの日には、ただ健康を願うだけじゃなくて、
-
ここまで元気に育ってくれてありがとうという感謝
-
これからも安心して笑って過ごせるようにという願い
-
今この瞬間、一緒にいられる喜びを感じる気持ち
そんな思いを、そっとこいのぼりや兜に重ねながら、ひとつずつ飾っていきます。
うちの娘は、飾りを出すたびに「これ去年もやったね」「あ、このおりがみ、私が作ったやつ!」と嬉しそうに話してくれるんです。
そんなとき、「ああ、ちゃんと心に残ってるんだな」と実感します。
手作りの飾りを壁に貼ったり、菖蒲湯に浮かぶ葉っぱを一緒に数えたり。
大げさなことは何もしなくても、親子で一緒に楽しんだ“行事の時間”が何よりの思い出になるんですよね。
完璧じゃなくてもいい。
豪華じゃなくてもいい。
手を抜いたってかまわない。
子どもと目を合わせて、笑って、飾りながら少し話をする。
そのひとときこそが、行事の本当の意味なんじゃないかなと私は感じています。
まとめ|気軽に楽しむ「わが家流のこどもの日」を見つけよう
こどもの日の飾りには、それぞれに意味や願いが込められています。
でも、それをすべて完璧にこなす必要はありません。
子どもが笑顔になる飾り方、家族で楽しめる過ごし方を見つけることが、なにより大切なことだと思います。
まずは「できる範囲でやってみる」ことから、気軽に始めてみませんか?
きっと、わが家らしいこどもの日のかたちが見えてくるはずです。