台風が近づくたびに、「もし停電や断水になったらどうしよう」と不安になりますよね。特に子どもがいる家庭では、食事やトイレ、暑さ・寒さ対策など、心配ごとが尽きません。私も数年前の大型台風で停電を経験し、備えの大切さを痛感しました。
この記事では、子どもがいる家庭が安心して台風を乗り切るための備え方を、実体験を交えてチェックリスト形式でまとめました。今日からすぐできる対策ばかりなので、家族で一緒に見直してみてください。
目次
台風前に準備しておく基本の備え

台風が接近すると、ニュースやスマホの通知に不安を感じる方も多いと思います。特に子どもがいる家庭では、家の中と外の安全をしっかり整えておくことが心の安心につながります。台風は「来てから」ではなく、「来る前の行動」がすべて。事前のひと手間が、大きな被害を防ぐことになります。
まず見直したいのは、家の外にある“飛ばされやすいもの”の確認です。ベランダや庭に置いたプランター、物干し竿、三輪車などは強風で飛ばされやすく、窓ガラスを割る原因にもなります。私の家でも以前、ベランダのスリッパが道路まで飛ばされてしまったことがあり、それ以来は必ず室内に入れるようにしています。重たいものでも油断せず、風の影響を受けにくい場所に移動させておきましょう。
次に、窓とドアの補強です。養生テープを「×」印に貼るだけでも、ガラスが割れたときの飛散を抑えられます。サッシの隙間に新聞紙やタオルを挟んでおくと、雨風の侵入を防ぐ効果もあります。子どもがいる場合は、「一緒に貼ってみようか」と声をかけると、遊びのように手伝ってくれることもあります。小さな手でも「家を守るお手伝いをしている」と感じられる時間になるでしょう。
また、カーテンを閉めておくことも忘れずに。
これは防災の基本ですが、実際にやっている家庭は意外と少ないものです。ガラスが割れたときにカーテンが飛散物を受け止めてくれるため、けがのリスクを減らせます。私はいつも子どもたちに「カーテンを閉めたら安全バリア完成だよ」と伝え、ゲーム感覚で手伝ってもらっています。こうした声かけ一つで、恐怖感よりも“自分も守る側”という意識を育てることができます。
さらに、停電や避難の可能性を想定して、早めに充電や確認を済ませることも大切です。スマホの充電、懐中電灯の電池、モバイルバッテリーの残量などをチェックし、夜間でも慌てないように準備しておきましょう。冷蔵庫の中も整理して、すぐに食べられる食品を上段にまとめておくと便利です。
最後に、子どもが不安を感じない工夫も欠かせません。大人が慌てていると、その空気はすぐに伝わってしまいます。
「これから台風さんが通り過ぎるから、みんなでおうちを守ろうね」と明るい口調で伝えるだけで、子どもは安心します。
台風前の準備は、家を守るだけでなく、家族の心を落ち着ける時間でもあるのです。
停電への備え|明かり・冷蔵庫・スマホ対策

停電になると、夜の移動・食材の保存・連絡手段の3つが一気に不便になります。私はこの3点を“すぐ使える場所”にまとめて置くようにしています。まずは次の3つを深掘りしてチェックしましょう。
明かりを確保する
停電時はまず足元の安全。懐中電灯やランタンは「人数分+予備1」が安心です。子どもには軽いヘッドライトや小型ライトを渡すと、両手が使えてトイレや洗面所の移動もスムーズ。
ランタンは置き型と吊り下げ型の2タイプがあると便利(ダイニングと脱衣所で同時に使える)
乾電池式と充電式をミックスし、乾電池は単三を基準にそろえると管理がラク
ロウソクは転倒火災の危険があるので避ける。どうしても使う場合は不燃皿・手の届かない場所で
夜間のトイレや階段には蓄光テープを貼っておくと安心
停電時に最初に手が届く“明かりボックス”を玄関かリビング入口に常設しておくのがコツ。
冷蔵庫の中身を守る
冷蔵庫は“開けない”ことが最大の節電・保冷。停電前から温度を下げ、食材をまとめておくと保冷効率が上がります。
2Lペットボトルに水を入れて凍らせ、冷凍庫の“隙間埋め”にしておく(保冷剤+断熱材の役割)
すぐ食べるものは停電前に上段へ集約し、メモを扉に貼ると無駄な開閉を避けられる
クーラーボックスがあれば、乳製品や弁当系を“避難”させて開閉回数を削減
冷凍食品は固まりを作ると保冷力が持続。小分けより“塊”で
「開けない・まとめる・凍らせる」の3ステップで、食材ロスと不安をぐっと減らせます。
スマホの電源を確保する
連絡・情報収集・ライト機能まで担うスマホは命綱。モバイルバッテリーは1万mAh以上を家族で2個を目安に。
停電前にフル充電、非常時は省電力モード・画面輝度を下げて通知を絞る
車のシガーソケット用充電器も予備に(屋外の換気が良い場所で短時間利用)
ラジオ機能付きライトや手回し発電機が1台あると“最後の砦”に
連絡は家族で“安否テンプレ”を決めて短文で送る(例「無事・在宅・水OK」)
通信は“長電話より短文・必要時のみ”が鉄則。電力も回線も節約できます。
断水への備え|水とトイレをどうするか

停電と違って、断水は「飲む・流す・洗う」のすべてに影響します。最優先は飲料水の確保とトイレの継続利用。家族構成に合わせて“数”で準備しておくと迷いません。家族4人なら「水36リットル(3L×3日×4人)+トイレ60回分(1人1日5回×3日)」が最低目安です。
飲料水と生活用水の確保
飲む水はペットボトルで“定位置管理”。キッチン下・寝室・玄関などに小分け分散しておくと、夜間の停電時でも取りに行きやすいです。
回転備蓄:月1本使い、使った分だけ即補充。賞味期限切れを防ぎます。
凍らせた2Lボトルは保冷剤兼、溶ければ飲用に。ボトルの膨張に備え、満水にはしない。
生活用水は浴槽に貯め置き(子どもの転落防止でフタ必須)。洗濯機の槽やバケツ、ポリタンクにも。
給水車への“運搬用”に折りたたみウォータータンク(コック付き)を1〜2個。車がなくても持ち帰りやすいです。
衛生面は「手指優先」。アルコールやウェットティッシュを玄関・トイレ・ダイニングに配置。食器はラップで覆って洗い物を減らす。漂白剤での消毒は製品表示に従い、用途別の希釈濃度を守ります。
簡易トイレの準備
“使い方が簡単でニオイを封じる”を基準に選びます。
構成:便座にかぶせる便袋+凝固剤+防臭袋(外袋)の3点セットが基本。
数の目安:1人1日5回×3日=15回分。家族4人で60回分を最低ラインに。乳幼児や高齢者がいる場合は余裕を。
使い方:便座に便袋をセット→用足し→凝固剤を振りかける→防臭袋に二重で封印→可燃ごみルールに従い一時保管。
子ども対策:最初に“リハーサル”を1回。「家を守る大切なお仕事」と伝えると抵抗が減ります。目隠しになる布や簡易パーテーション(洗濯物干し+シーツ)もあると安心。
代用品:厚手ポリ袋+新聞紙やペットシーツでも可。ただし市販の凝固剤・防臭袋の方が衛生的で後始末が楽です。
使う順番と節水のコツ
水が少ないほど“ためてまとめて処理”が基本。
大は都度凝固・密封。小は可能な範囲で回数をまとめ、凝固剤の使用量を節約。
トイレットペーパーは使い過ぎない(袋の破れ・詰まり防止)。おしり拭きやビデ用ボトルを併用すると快適。
排水口からのにおい逆流対策に、床排水や洗面の排水口へラップや水封を。
給水時の持ち運びと衛生管理
タンクやバケツには家族名・採水日時を記入。古い水は生活用水へ回す。
給水ポイントでは並ぶ前に手指消毒。蛇口に直接口をつけない、容器のフタ・注ぎ口は触らないが鉄則。
帰宅後は“飲む用/洗う用”にラベリングし、子どもが迷わないように置き場を固定。
この章を読み終えたら、家族の人数に合わせた「水の本数」と「トイレ回数分のセット数」を紙に書き出し、玄関収納に貼っておくと、台風接近時でも迷わず動けます。
食事の備え|非常食と調理器具を見直す

台風による停電や断水が長引くと、調理ができずに食事のリズムが乱れてしまいます。特に子どもがいる家庭では「いつも通りに食べられること」が安心につながります。非常食を選ぶときは、「保存がきく」だけでなく、“子どもが食べ慣れていて無理なく食べられる味”を意識することが大切です。
子どもが喜ぶ非常食リスト
非常食=味気ないもの、というイメージを変えて、普段の食卓に近いラインナップを意識してみましょう。
レトルトごはんやカレー:温めずに食べられるタイプも多く、子どもでも安心。
フルーツ缶・ゼリー:水分補給も兼ねて手軽にエネルギー補給ができます。
スティックパンやクラッカー:手が汚れにくく、食感の変化で気分転換にも。
お菓子・チョコレート:甘いものはストレス軽減に効果的。子どもの笑顔を引き出してくれます。
「防災食」ではなく「お楽しみ食」として準備しておくと、子どもが進んでお手伝いしてくれるようになります。我が家では、非常食ボックスに“好きなお菓子を1つ入れてOK”というルールを作ったら、準備の時間がちょっとしたイベントになりました。
温かい食事を支える調理器具
非常時でも火が使える環境があるだけで、心の落ち着き方がまったく違います。
カセットコンロとガスボンベ:1日3食×3日分なら、ガスボンベは3〜4本を目安に。
使い捨て皿・割り箸・紙コップ:水が使えない時に便利。紙皿にラップを敷けば再利用も可能。
ポリ袋調理(湯せん調理)を覚えておくと、カレーやパスタも作れます。袋のまま温めて、洗い物を出さないのがポイント。
電気ポットが使えない場合でも、ガスコンロがあれば粉ミルク用のお湯も確保できます。
「温かい食事を取れる=心の余裕が戻る」ということを実感した方は多いはずです。冷たい食事が続くと気持ちも沈みがちになりますが、温かいスープやごはんを一口でも口にするだけで安心感が広がります。
保存方法と賞味期限の管理
非常食は買って終わりではありません。
ストックは「回転備蓄(ローリングストック)」方式にする。日常で食べ、食べたら買い足す。
家族構成に合わせて“月ごとに1日分を入れ替える”習慣をつけると賞味期限切れを防げます。
保管は高温多湿を避け、押入れ下や冷暗所に。子どもが届く位置に置くと、「食べてもいい?」と興味を持ちやすくなります。
また、「食べられるもの」より「食べたいもの」を選ぶことが、災害時のストレス軽減につながります。大人が栄養バランスを考えるのはもちろんですが、子どもの“食の楽しみ”を残してあげることも忘れずに。
親子で非常食を試す“プチ体験”
普段から「防災ごはんデー」を作って非常食を一緒に食べてみると、いざという時にも戸惑いません。
「これおいしいね」「温めなくても食べられるんだ」と話しながら、実際の味や使い方を確認しておくと安心です。家族の好みも分かるので、無駄な買い置きを防げます。
非常食の備えは、“命を守る準備”でありながら、“家族を笑顔にする準備”でもあります。
子どもの笑顔を守るために、今日から少しずつ家庭の防災ストックを見直してみましょう。
子どもが安心できる“心の備え”も大切に

台風のとき、子どもにとって一番の恐怖は「何が起きているのか分からないこと」です。外で強い風が吹いたり、家が揺れたり、突然暗くなったりするだけで、心細くなるのは自然なこと。だからこそ、物の備えと同じくらい“心の備え”を整えることが大切です。
不安をやわらげるためにできること
子どもが怖がって泣いたり、落ち着かなくなったりするのは当然の反応です。そんな時は、理由を説明しすぎるよりも、まず“安心できる雰囲気”を作ることを意識します。
「大丈夫、ママもパパもここにいるよ」「台風は通り過ぎるだけだよ」と、やさしい声でそばにいてあげるだけでも、子どもの表情は少しずつ落ち着いていきます。
特に幼い子どもは、親の声や抱っこが最大の安心材料です。照明が落ちたときも、手をつないだり抱きしめたりすることで、心の不安をぐっと軽くしてあげられます。
また、子どもが少し大きい場合は、停電中にできる“楽しい時間”を用意しておくのもおすすめ。
お絵かき帳や色鉛筆
カードゲーム、UNO、トランプ
家族で読み聞かせできる絵本
手回しライトを使った「影あそび」や「しりとり」
「怖い時間」ではなく「特別な家族の時間」として過ごせるように工夫すると、次に台風が来ても落ち着いて行動できるようになります。
家族で話しておく“心構え”
台風が接近する前に、家族でルールや行動を確認しておくと、いざという時の不安が減ります。
「台風が来たらどうする?」「停電したらまず何をする?」と、家族会議のように話すことで、子どもも“自分も考える側”として心の準備ができます。
こうした小さな話し合いが、家族の結束を強め、行動の一致にもつながります。
私の家では、台風の前日になると「台風ごっこ」をします。カーテンを閉めて懐中電灯をつけ、「電気が消えたらどうする?」と練習するんです。最初は遊びのようですが、実際の停電時にも子どもが慌てずに行動できました。
子どもの安心グッズをリュックに
避難時や停電時に落ち着いて過ごせるように、子ども専用の“安心リュック”を用意しておくのもおすすめです。
ぬいぐるみやお気に入りの毛布
小さめの絵本やシール帳
小袋に分けたお菓子(非常食にもなる)
手紙や写真(家族が一緒だと分かるもの)
「これがあれば大丈夫」という存在が1つあるだけで、子どもの心はぐっと安定します。
安心グッズは防災用品と同じくらい重要。 子どもの性格や年齢に合わせて、落ち着けるものを一緒に選びましょう。
大人の“心の余裕”も子どもを守る力に
子どもは親の表情を敏感に読み取ります。大人が焦っていたり不安そうにしていると、その空気がそのまま伝わってしまいます。
「深呼吸して落ち着こう」「一緒に準備できて安心だね」と声に出すことで、自分にも子どもにも落ち着きを取り戻すことができます。
台風の備えは物理的な防災だけでなく、家族が安心して過ごすための“心の習慣づくり”でもあります。
不安な時間を少しでも穏やかに過ごすために、今日から家族で「心の防災準備」も始めてみましょう。
まとめ|家族みんなで「台風ごっこ」しながら備えを確認しよう
台風の備えは、単なる“準備”ではなく、家族の命と安心を守る力になります。懐中電灯や飲料水、非常食をそろえるのはもちろんですが、「どう使うか」「どんな流れで動くか」を家族で確認しておくことが本当の防災です。
たとえば、停電になった瞬間に慌てず動けるように、懐中電灯の場所を共有したり、水の使い道をシミュレーションしたりするだけでも、実際の行動が変わります。こうした確認を遊び感覚でできるのが、「台風ごっこ」。私の家でも、週末になると子どもたちと一緒にリビングの電気を消し、ランタンをつけて過ごす練習をしています。
最初は「なんか楽しいね!」と笑っていた子どもも、回数を重ねるうちに「停電の時はライトを持ってトイレに行くんだよね」と自分から言えるようになりました。“備えを生活の一部にする”ことが、最大の防災対策です。
家族みんなが参加することで、「何をどこに置くか」「誰が何を担当するか」が自然と共有されます。小さな子どもには「お菓子担当」や「懐中電灯係」など、役割を与えると自信にもつながります。
台風が来る前に、家族で10分だけ時間を取ってチェックリストを見直してみてください。
水・食料・ライト・モバイルバッテリーの位置を確認
トイレや風呂の水をどこにためるか話し合う
非常用リュックを実際に背負ってみる
家族で合言葉(「ランタンタイム!」など)を決めて停電時に行動開始
「備え=安心」という言葉は、決して大げさではありません。
家族で楽しく練習しながら備えておくことが、いざという時の冷静な行動につながります。
今日のうちに、家族みんなで“台風ごっこ”をしながら、防災チェックをしてみましょう。
笑顔で備えられる家族ほど、強く、しなやかです。











