子どもに「この漢字なんて読むの?」と聞かれて、私も思わずスマホで調べてしまうことがあります。とくに「にんべんに放」なんて、見慣れないと読み方すら浮かばないんですよね。家庭で勉強をみていると、こういう“知らないけれど今さら聞きづらい漢字”って意外と出てきます。
でも大丈夫。この記事では、「にんべんに放」の正しい読み方や意味、日常でどう使われるのかを、私の家庭での会話や体験談を交えながら分かりやすくまとめました。家でのちょっとした漢字の時間にも役立つので、ぜひゆっくり読んでいってください。
目次
にんべんに放は「倣」と書いて“ならう”と読む
「にんべんに放」と聞くと、「放す」「解き放つ」といった“力強い動き”をイメージしがちですよね。私も最初は「行動を解き放つ」というような意味を想像していました。ところが、実際には「倣(ほう)」と書き、読み方は“ならう”。
このギャップに、子どもと一緒に「へぇ〜!」と声を上げたほどです。
「ならう」といえば「習う」が思い浮かびますが、「倣う」は“手本を真似てみる・型に合わせて行動する”というニュアンスが強く、どちらかというと「模倣(もほう)」に近い感覚です。家の中で子どもが親の動きを真似するとき、その姿こそが「倣う」に当てはまります。
倣の成り立ち
漢字の成り立ちを知ると、一気に理解が深まることがあります。「倣」もまさにそのタイプです。
人偏と「放」が組み合わさる意味
左側の「にんべん」は、人に関する動作やふるまいを表します。そこに右側の「放」がつくことで、「型を真似て行動する」という意味が生まれています。
「放つ」「放り出す」といった“勢いのある動作”の印象とは違い、「倣」はどちらかと言えば“やわらかく寄り添うように模倣する行為”を表します。
日常にある「倣」の感覚
たとえば、子どもがお母さんの口調を真似したり、お父さんの工具の使い方をじっと見て学ぼうとしたり…。こうした“模倣の最初の一歩”こそが「倣う」という行為そのものです。
子どもは、教えられるよりも先に観察し、倣いながら世界を理解していく。成り立ちから意味を知ると、この漢字がぐっと身近に感じられます。
倣(ならう)の基本的な使い方
日常会話で単独で「倣う」という言葉を使う場面は多くありません。でも、熟語の形では意外とよく登場します。
よく使う関連語
模倣(もほう)…型をまねること全般
倣って(ならって)…「それに合わせて」「同じようにして」
倣製(ほうせい)…範囲は狭いけれど、一部の工芸品で使われる語
特に「倣って」は家庭でも使いやすい言い回しで、
「昨日のやり方に倣って作ってみた」
「お姉ちゃんの準備を倣ってやってみよう」
といった使い方をすると自然に馴染みます。
教育の場面での「倣う」
子どもが「倣う」力を持っているからこそ、私たち大人は“見せる”ことが大切になります。
料理の盛りつけ、物のしまい方、靴のそろえ方など、わが家でも「やって見せる → 倣ってみる → 上手くなる」という流れが自然とできています。
倣うことは、子どもが自分で学びを組み立てる第一歩なのだと実感します。
子育ての中で感じた「倣う」という行為の大切さ
「倣う(ならう)」という言葉は、辞書で見ると少し堅い印象がありますが、実は子育ての中で毎日のように目にする行為です。
私自身、キッチンで野菜を切っていると、隣で子どもがおもちゃの包丁を持って同じ動きをしようとすることがあります。
それは単なる“真似”ではなく、親の行動を観察し、自分の中へ取り入れようとしている大事な学びの姿そのものです。
こうした瞬間に触れるたび、「倣」という字がただの漢字ではなく、生活の中に息づく行為だと実感します。
真似からはじまる成長
子どもは新しいことを覚えるとき、まず“模倣”から入ると言われます。
たとえば、片付けの仕方・挨拶のタイミング・靴のそろえ方など、大人にとっては当たり前の動作こそ、子どもにとっては観察から学ぶ対象です。
私も「どうして急にこの仕草を覚えたんだろう?」と思うことがありますが、よく考えたら日常のどこかで私や夫がやっていることを静かに見ていたんですね。
そう思うと、何気なく過ごしている時間も、子どもにとっては大きな教材になっているのだと気づかされます。
だからこそ、親の行動が“学びの土台”になることを意識しておくと、ふだんの関わりがぐっと豊かになります。
怒る前にまず自分の姿を見直してみたり、できるだけ丁寧に声かけをしてみたり…。
子どもは言葉以上に、大人の動作・表情・雰囲気を“倣って”吸収しているのだと感じます。
さらに、倣うことは単に「真似をする」だけでなく、自分なりに取り入れてアレンジしていく出発点にもなります。
味見をしている姿を見て、子どももスプーンを持って食材を確かめるふりをする。
そんな「倣う」から生まれる小さな成長が、親としてはとても愛しく、そして励みになります。
「倣(なら)う」と「習う」の違い
子どもに説明するとき、「習う」と「倣う」の違いは意外とややこしいものです。どちらも“学ぶ”ことに関係していますが、その入り口や学び方の姿勢がまったく異なります。
私自身も「どうやって説明すれば伝わるかな?」と悩んだ経験がありますが、この違いを知っておくと、子どもの理解もぐんと深まります。
「習う」は“誰かから教えてもらう”学び
「習う」は、先生や親など“指導する人が存在する”学びです。
学校の授業、ピアノ教室、スイミングなど、決まったやり方を誰かから直接教わる場面で使われます。
型や手順はあらかじめ示されていて、それを学ぶのが「習う」という行為。
子どもは先生の言葉を聞いたり、お手本を見たりしながら、少しずつ技術を積み上げていきます。
「倣う」は“自分で見て真似る”学び
一方の「倣う」は、明確な先生がいなくても成立します。
生活の中で目にした姿や動作を、“自分で観察して取り入れる”のが倣うという行為です。
たとえば、親が料理するときのまな板の使い方を子どもが真似したり、兄妹の姿を見て片づけの方法を覚えたり。
こうした自然な真似から始まる学びは、“自分で考えて取り入れる力”が育ちやすいのが特徴です。
使い分けが分かると、子どもへの声かけが変わる
例えば料理で考えてみると、
料理教室で先生から切り方を学ぶ → 「習う」
レシピを見てそれを真似する → 「倣う」
と明確に分けられます。
私も子どもに「これは習っているの?倣っているの?」と聞くと、本人なりに状況を整理して答えるようになりました。
この違いが分かってくると、子どもの中にも「どう学ぶか」のイメージが育ち、学びの幅が広がっていくように感じています。
学ぶ方法には“教わる”だけでなく、“真似てみる”という大切な道があることを伝えておくと、子どもの自己学習力にもつながります。
くらしの中で出会う「倣」の使いどころ
「倣」という字は、普段の生活ではあまり意識されないかもしれませんが、よくよく見てみると、家庭のいろいろな場面で自然と使える便利な言葉です。「模倣品」「倣ってみる」という表現に触れたことがある人も多いはず。それだけ、“真似る”という行為が私たちの日常に根づいているということでもあります。
家庭で気軽に使えるフレーズ
家庭の中では、「倣う」を使う場面は意外と豊富です。
たとえば、子どもが新しいことに挑戦するとき、
「お兄ちゃんの動きを倣ってやってごらん」
「昨日のレシピに倣って作ってみたよ」
という声かけは、行動の“手がかり”を示すのにとても使いやすい言い方です。
こうしたフレーズは、子どもにとって「完全にゼロからやるわけじゃないんだ」と安心感につながりやすく、また、“お手本を参考にしながら取り組む”という姿勢も育ててくれます。
生活の中に言葉として根づくと覚えやすい
難しい漢字は、机の上だけで覚えようとするとハードルが高く感じられがちです。でも、会話の中に自然に登場させると、意味とイメージがセットで記憶に残りやすくなります。
たとえば、「倣ってみる?」と声をかけることで、
「誰かの動きを“参考にする”んだな」
「完全コピーじゃなくてもいいんだな」
という感覚を子どもがつかみやすくなります。
こうした積み重ねが、「倣う」の本来の意味を体で理解するきっかけになります。
難しい漢字ほど、生活の中で使われるとスッと覚えられるものだと実感します。
子どもの学びにどう活かせる?
漢字は画数が多かったり、形が複雑だったりすると、「これは難しそう…」と大人でも身構えてしまうことがありますよね。まして子どもならなおさら。でも、読み方の背景や成り立ちを知ってから漢字を見ると、一気に記憶しやすくなることがあります。
「倣う(ならう)」もそのひとつで、意味を理解すると、ただの“難しい漢字”から“生活に根づいた行為の名前”に変わっていきます。
家庭でのちょっとした工夫
子どもに漢字を押し込むよりも、まずは“知るきっかけ”をつくることが大切です。
一番手軽で効果的なのは、日常の会話の中に漢字の話題をほんの少し混ぜること。
たとえば、夕飯の支度をしているときにふと、
「今日は“倣う”っていう字を覚えたよ。手本をまねるって意味なんだって」
と声をかけてみるだけで十分なんです。
子どもは大人の何気ないひとことをよく覚えていますし、こうした“雑談に近い学び”が積み重なることで語彙がふくらんでいきます。
学校の勉強とは違い、プレッシャーを感じないからこそ吸収力も高まりやすいんですよね。
さらに、生活の中で「倣う」を意識的に使ってみるのも効果的です。
「お姉ちゃんのやり方に倣ってみたらどうかな?」
「昨日の作り方に倣ってもう一回挑戦してみよう」
といった声かけは、漢字の意味と実体験がつながるので、記憶に残りやすくなります。
子どもにとって“実際の場面の中で言葉が生きる感覚”を味わえるのは大きな学びです。
家庭のちょっとした会話こそ、語彙力と理解力を伸ばす最高の教材なのだとつくづく感じます。
まとめ|今日から“倣う”の字を家族の会話に取り入れてみよう
「にんべんに放=倣(ならう)」という漢字は、一見すると難しそうに見えますが、意味が分かるとぐっと身近になります。
子どもは日々、親や周りの大人の行動を観察し、真似しながら成長していきます。その姿こそが「倣う」という行為そのもの。
漢字の知識として覚えるだけでなく、“日常の中にある学びの姿”として捉えると、「倣」という字がより豊かな意味を持って感じられるはずです。
たとえば、食事の支度や片付けの時間、兄弟同士の関わりなど、家の中には倣う場面がたくさんあります。そんな瞬間に気づいたとき、
「これって倣うっていうんだよ」
と一言添えるだけで、子どもにとって“言葉と体験が結びつく時間”が生まれます。
日常会話の中に自然に漢字の話題を混ぜることで、子どもの語彙も豊かになり、「学ぶって楽しい」という感覚が育っていきます。
暮らしの中に小さな学びを積み重ねていくことが、子どもの成長にとって大きな力になると感じています。
今日からぜひ、家族の会話に「倣う」をそっと取り入れてみてください。
きっと小さな気づきや学びの時間が、いつもより少しだけ増えていくはずです。














