「うちの子、友だちとうまくやれてるのかな…?」――学校や園での友人関係に、不安を感じたことはありませんか?
実は、子ども同士のトラブルは成長の一部。でも、親としては“どこまで関わるべきか”迷ってしまいますよね。
本記事では、よくあるトラブルの事例や、親の適切な関わり方、見守りとのバランスについて、実体験も交えてわかりやすく解説。
子どもの心に寄り添いながら、親としてできることを一緒に考えてみませんか?
目次
トラブルを知ったきっかけとそのときの状況

本人の口から出たひとこと
「今日、〇〇くんとけんかしたんだ…」
そんな風に、ぽつりと話し出す子どものひとことからトラブルを知るケースは少なくありません。
帰宅してすぐには話さなくても、夕食時やお風呂の中、寝る前など、ふとしたタイミングで心を開いてくれることもあります。
大切なのは、そのひとことをどう受け止めるか。
表情が曇っていたり、いつもより元気がなかったり――子どもの様子に少しでも変化を感じたときは、責めることなく、そっと「どうしたの?」と声をかけてみましょう。
この“自分から話してきた”という行動には、親に対する信頼が込められています。
つい「なにがあったの!?」と問い詰めたくなる気持ちもありますが、まずは子どもの気持ちを受け止めることが何よりのサポートになります。
先生からの連絡で知った場合
一方で、子ども本人が何も言わず、先生からの連絡で初めて知るということもあります。
「今日、〇〇くんとの間で少しトラブルがありまして…」
そんな電話や連絡帳の記述に、ドキッとする親御さんも多いはず。
とくに、普段あまりトラブルのない子の場合は、「何があったんだろう」と動揺してしまうこともあるでしょう。
でも、まずは冷静に事実を確認することが大切です。
先生の立場から見える状況と、子ども自身が感じていることは必ずしも一致しません。
家庭でも「今日は学校どうだった?」と普段通りのトーンで聞いてみて、子どもが話しやすい雰囲気をつくることが重要です。
また、先生が連絡をくれたということは、ある程度、学校としてもフォローが必要と感じている状況である可能性があります。
「親としてどうしたらよいか迷っていて…」という姿勢で相談すると、学校側とも協力しやすくなります。
トラブルの“前兆”に気づいていたか
実際にトラブルが表面化してから、「そういえば…」と思い返す場面もあるかもしれません。
たとえば、
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「最近〇〇くんと遊ばなくなった」
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「なんか学校行きたくないって言ってた」
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「お弁当の時間がつまらないって言ってた」
など、よく考えると小さな“違和感”やサインが出ていたことに気づくことも。
子どもは自分の気持ちをうまく言葉にできないことが多く、代わりに行動や態度に表れることがあります。
いつもと違う帰宅後の様子、持ち物の乱れ、突然の泣き出しや不機嫌――そうした“小さな変化”を見逃さない感受性も、親としての大切な役割です。
「行きたくないって言ってるけど、疲れてるのかな」
「なんか元気がないけど、そのうち戻るかな」
と、流してしまいたくなる気持ちもありますが、それはもしかすると“心のSOS”のサインかもしれません。
子ども同士のトラブル、よくあるパターン

おもちゃ・遊びのルールでの衝突
幼児期から低学年ごろにかけて、特に多いのが「おもちゃの取り合い」や「遊びのルールをめぐる衝突」です。
たとえば、
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「先に使ってたのに取られた」
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「順番を守ってくれなかった」
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「遊び方が違うと怒られた」
といったような場面です。
この時期の子どもたちは、「みんなで使う」「順番を守る」「貸してもらったらありがとう」といった社会的なルールの学びがまだ発展途上にあります。
そのため、些細なことで気持ちが高ぶり、お互いに譲れなくなってしまうこともしばしば。
遊びは楽しい反面、思いどおりにいかないストレスも含まれており、それをどう処理するかを学ぶ“訓練の場”でもあります。
親や先生がその都度ルールを説明したり、「じゃあどうすれば気持ちよく遊べるかな?」と問いかけたりすることが、子どもにとって大切な学びとなります。
また、兄弟姉妹がいない子の場合、家庭ではなかなか“譲り合い”の機会が少ないこともあります。
だからこそ、園や学校でのトラブルは、他者と過ごす力を育てる第一歩だと捉える視点が大切です。
仲間外れや言葉のトゲ
小学校中学年以降になると、トラブルの内容が少しずつ変化していきます。
目立つのが「言葉によるすれ違い」や「グループ内の人間関係」によるものです。
たとえば、
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「〇〇とは遊びたくない」と無意識に口にしてしまった
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「なんでそんなことするの?」という言葉に傷ついた
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グループでの遊びに入れてもらえなかった
といったケースが挙げられます。
この年代の子どもたちは、“言葉”が相手にどう届くかを少しずつ学んでいく段階。
本人に悪気がなかったとしても、結果的に誰かを傷つけてしまうこともあります。
とくに、「仲間外れ」は親としても気になるテーマですが、必ずしも悪意から起きているとは限りません。
遊びの流れの中で人数が足りなかったり、好みが合わなかったりと、複雑な背景がある場合も。
しかし、受け取った子どもにとっては「嫌われた」「のけ者にされた」という深い傷になることもあるため、親は子どもの感情を丁寧に受け止めてあげることが重要です。
力の差・性格の差から生まれるすれ違い
子ども同士のトラブルは、性格や身体的な違いによって生じることも多くあります。
たとえば、
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活発な子がつい力加減が分からずに相手を押してしまった
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慎重な子がペースを乱されて不安になってしまった
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声の大きい子と静かな子がうまく意思疎通できなかった
といったような、「誰かが悪いわけではないけれど、うまくかみ合わない」という場面です。
このような“違い”から生まれるすれ違いは、本人たちにはコントロールしにくい部分でもあります。
ときには、「あの子はいつも乱暴なんだ」といった偏った認識を持ってしまうこともあるため、大人が間に入り、お互いの特性を理解できるようサポートすることが大切です。
また、親としても「うちの子の方が繊細かも」「あの子は元気すぎる」と感じることがあるかもしれません。
でも、それぞれの子に得意・不得意があるのは当然。大切なのは、それをどう認め合い、関わっていくかを学ぶことなのです。
親が介入すべき?しない方がいい?

子どもの自立を妨げない関わり方
親として一番悩ましいのが、「どこまで口を出すべきか」というラインです。
放っておくのは心配、でも過度に介入すれば子どもの成長を妨げることになりかねない――そんな葛藤を抱える方も多いのではないでしょうか。
基本的に大切なのは、子どもが自分の言葉で、状況を整理し、自分で考える力を育てることです。
一方で、すべてを「子どもに任せる」だけでは、うまく言葉にできないままストレスが蓄積したり、自信を失ってしまうこともあります。
たとえば、
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「言いたいけど怖くて言えない」
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「何が悪かったか分からないけど責められた」
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「どうしてよいかわからないから黙ってしまった」
といったように、問題が“未処理のまま”になってしまうケースも。
だからこそ親は、“問題を解決する人”ではなく、“一緒に考える伴走者”の立場でいることが大切です。
「どうして嫌だったの?」「相手はどう思ったかな?」などと問いかけながら、子どもが自分の感情を見つめ、整理する手助けをしてあげましょう。
そして、子どもが「言葉にできた」「気持ちを伝えられた」と感じられる体験が、やがて自信と人間関係の力に変わっていきます。
学校との連携の判断基準
家庭内で話を聞くだけでは状況がつかみにくい場合、学校との連携が重要な鍵となります。
ただ、「学校に相談するのは大げさでは…?」とためらう親御さんも多いかもしれません。
以下のようなケースでは、迷わず相談してよいサインと捉えてください。
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同じ相手とのトラブルが繰り返されている
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子どもが登校や園に行くのを嫌がるようになった
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叩く、蹴るなどの暴力的な行為があった
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睡眠や食欲、表情などに変化がある
学校や園は、子ども同士の関わりを日常的に見ている第三者です。
その視点から、本人の言葉だけではわからない背景や、他の子の状況もふまえたアドバイスをもらえることがあります。
相談の際には、いきなり「何とかしてください」と詰め寄るのではなく、
「家でこういう様子があるのですが、園(学校)ではどうですか?」という対話的なスタンスを取ると、先生とも建設的な関係を築きやすくなります。
親が感情的にならないために
わが子がトラブルに巻き込まれたり、何かを言われたりしたと聞くと、親としては冷静でいられないものです。
「相手の子はどうしてそんなことを?」「うちの子ばかり悪く言われてるのでは?」
そんな風に感情がぐらつくのは、親として当然のことです。
しかし、注意したいのは、その不安や怒りを“子どもの前で直接ぶつけないこと”。
子どもはとても敏感です。親が怒った表情や強い言葉を使うと、
「自分のせいで親が怒っている」「話さなければよかった」
と感じ、次から本音を話さなくなる可能性があります。
感情が高ぶったときこそ、いったん深呼吸をして落ち着くこと。
そして、以下の3つの視点を持つことを意識してみてください。
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子ども目線:「この子はどんな気持ちで話しているのか」
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相手目線:「相手の子にはどんな事情があったのか」
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第三者目線:「大人としてこの状況をどう見られるか」
感情に任せて判断するのではなく、状況を俯瞰し、子どもが“安全に話せる環境”を整えることが、何よりも大切です。
実際にどう対応したか(体験談)

まず子どもの話をしっかり聞いた
ある日、帰宅してすぐ、娘が泣きながら「〇〇くんが叩いてきた」と言ってきました。
驚きと動揺がありながらも、私はまず「どうしたの?なにがあったの?」と、落ち着いたトーンで娘の話に耳を傾けるように心がけました。
子どもがトラブルを話してきたとき、大人の感情が先に立ってしまうと、子どもはそれを察して話すのをやめてしまうことがあります。
だからこそ、「最後まで話を聞く」「気持ちを受け止める」ことが第一だと感じました。
話を丁寧に聞いていくと、実は娘の側に“ちょっとしたからかい”があったことが分かりました。
本人は冗談のつもりだったようですが、相手の子にとっては嫌な言葉だったのかもしれません。
こうして振り返ってみると、一方的に相手を悪者にするのではなく、まずは自分の子どもの言動も冷静に見つめ直すことの大切さを実感しました。
子ども自身が「自分の言動がどう影響を与えたのか」に気づけるよう、まずは親が受け止め、導く姿勢が必要です。
「相手の気持ちを考える」を一緒に考えた
娘の話を最後まで聞いたあと、私はこう尋ねてみました。
「〇〇くんは、そのときどう思ったかな?」
「もし、自分が同じことを言われたらどう感じる?」
最初は「わかんない」と言っていた娘も、少しずつ自分の言葉で考えるようになり、「嫌だったかも…」とつぶやきました。
子どもにとって“相手の立場を想像する”というのは簡単なことではありません。
でも、こうした親との対話の中で、共感する力や思いやる心が少しずつ育っていくのだと思います。
無理に「相手のことも考えなさい!」と説教するのではなく、一緒に考える“時間”と“視点”を共有することが、子どもの心を育てるうえでとても大事だと感じました。
また、「〇〇くんが悲しかったかもしれないね」と共感の言葉を添えることで、子どもも「もう少しやさしくすればよかった」と、自発的に気づくことができました。
必要に応じて先生にも相談した
その後、娘の様子が少し落ち着いてきたタイミングで、学校の先生にも連絡を取りました。
「娘から話を聞いたのですが、もし学校でも何か気になる点があれば教えてください」と、あくまで“協力”の姿勢で相談を持ちかけました。
すると、先生もすでに状況を把握しており、「お互い様な部分もありましたが、今日は落ち着いて帰っていきましたよ」と教えてくれました。
家庭では見えない一面を知ることで、安心した部分もあり、何より学校との連携が心強い支えになると実感しました。
ここで重要なのは、先生に対して“感情的な姿勢”にならないこと。
「なんで注意してくれなかったのか」「相手の子には指導があったのか」といった詰問ではなく、「子どもがうまく向き合えるようサポートしたい」と伝えることで、建設的な対話が可能になります。
家庭と学校が同じ方向を向いて支えることで、子どもにとっても「自分は大切にされている」と感じられるようになります。
このように、実際の対応を振り返ってみると、
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子どもの話を最後まで聞くこと
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感情ではなく対話を通じて共感力を育てること
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学校との連携も含めて冷静に行動すること
この3つが、子どもの心に寄り添いながら、トラブルを成長の糧に変える大切なステップだったと感じます。
親の不安と向き合うには

「うちの子が悪いのかも」という気持ち
子ども同士のトラブルを耳にしたとき、真っ先に浮かぶのは「どうしよう」という不安と、
「うちの子が何かしたんじゃないか」という自責の念かもしれません。
とくに、先生や他の保護者から先にトラブルを知らされた場合、
「きちんと育てているつもりだったのに」「私の関わり方が悪かったのかな」と自分を責める気持ちが湧いてくるのも自然なことです。
でも、子どもはまだ未完成な存在であり、失敗を通して成長していくもの。
大切なのは、「失敗=悪いこと」ではなく、「失敗=学びの機会」と捉える視点です。
そしてそのとき、親が自分を責めすぎるのではなく、「どうすれば子どもがより良く育っていけるか」を一緒に考える存在になることが、何よりも心強い支えになります。
完璧な親も、完璧な子どももいません。だからこそ、親も子も“育ち合う存在”であることを受け入れることが、不安と向き合う第一歩になります。
子どもを信じることの難しさ
トラブルの話を聞いたとき、心の中で揺れ動くのが「うちの子に限ってそんなことするはずがない」という思いと、「でも、もしかしたら…」という疑念の間にあるジレンマです。
信じたい。でも疑ってしまう。
この葛藤に苦しんだ経験のある親は、決して少なくありません。
そんなときこそ、思い出してほしいのが、信じるというのは“すべてを肯定すること”ではなく、“一緒に考える姿勢”を持ち続けることだということです。
「あなたが悪いとは思っていないよ。でも、あなたの言葉や行動で誰かが傷ついていたら、一緒に考えよう」
このスタンスこそが、信頼としつけのバランスを保つ親の姿勢です。
子どもは、親の表情や言葉から、「自分を否定されたのか」「自分を信じてくれているのか」を敏感に感じ取ります。
だからこそ、感情ではなく対話で向き合うことが、信じることの“本質”につながるのです。
親同士の関係への影響も気になる
子ども同士のトラブルが、思わぬ形で親同士の関係に波及することもあります。
特に、近所の子や同じ園・学校で頻繁に顔を合わせる保護者同士の場合は、なおさら気を遣う場面が増えるでしょう。
「相手の親からどう思われているのか」
「こちらから謝ったほうがいいのか、それとも待つべきか」
「気まずいけど、何もなかったように接するべきか」――
そんな風に、子どもの問題以上に“大人の人間関係”に悩まされることもあるかもしれません。
そんなときは、まず「子どものトラブルは、あくまで子ども同士のもの」と切り分ける意識を持つことが大切です。
もちろん、必要な連絡や謝罪は誠実に行うべきですが、無理に感情を抑えてまで“親同士が仲良くしなければ”と考える必要はありません。
丁寧で礼儀あるやりとりを心がけつつも、一定の距離感を保つことで、お互いにストレスを抱えすぎずに済むこともあります。
また、時間が経てば子どもたちの関係性は自然と変化していきます。大人が引きずりすぎず、柔軟に受け止める姿勢が、親同士の健全な関係を保つ鍵になります。
乗り越えて見えた子どもの変化

成長を感じられた瞬間
ある日、夕食のあと、娘がふとこんなことを言いました。
「この前のこと、ちゃんと“ごめんね”って言えたよ。」
ほんの一言でしたが、私はその言葉に胸を打たれました。
あのとき泣きながら話してくれたトラブルのこと、どうやって向き合うかを一緒に考えた時間。
それを娘なりに消化して、自分の言葉で相手に気持ちを伝えられたという事実に、成長の大きな一歩を感じました。
子どもにとって、「ごめんね」はとても勇気のいる言葉です。
とくに、自分にも少しだけ非があるとわかっているときには、言葉にするのが難しいもの。
それでも、「言ってみよう」と自ら行動に移せたことは、心の中に“相手の気持ちを思いやる芽”が育ってきた証でした。
この瞬間、「あの時にただ叱るのではなく、対話を大切にしてよかった」と、親としても報われたような気持ちになりました。
その後の関係性の変化
トラブルのあった当初は、娘と相手の子の間には目に見える距離ができていました。
登校時もあまり近づかなくなり、「今日は遊ばなかった」と少し寂しそうに話すことも。
でも、数日が経ち、ある日娘がこう言いました。
「今日はちょっとだけだけど、一緒にお絵かきしたよ。」
その言葉に、心の中でほっと息をつきました。
子どもたちは、大人よりもずっと“回復する力”を持っているのだと、改めて感じさせられた出来事でした。
大人は時に、過去の出来事を長く引きずってしまいがちですが、子どもたちは「仲直りしたい」という気持ちさえあれば、意外とあっさり関係を修復していきます。
もちろん、そのためには親が先回りして線を引いたり、悪者を決めたりしないことが大切です。
一つのトラブルで「もうダメだ」と決めつけず、少し距離を置きながらでも関係が自然に戻っていくのを見守ることで、子どもたちは自分のペースで関係性を再構築していきます。
親として学んだこと
今回の一連の経験を通して、私自身が何より学んだのは、「トラブル=悪いこと」ではないということです。
トラブルの最中は、もちろん心配や不安、戸惑いの連続でした。
「うちの子が傷ついている」「相手に何かされたのでは」と心がざわついた夜もありました。
でも今振り返ると、それは子どもにとっても親にとっても、成長のための“通過点”だったと感じています。
私たちはつい、子どもに「失敗しないでほしい」「傷ついてほしくない」と願ってしまいますが、
実際は、そうした経験を通してこそ、感情のコントロールや人との関わり方を学び、他者と向き合う力が育まれていくのだと気づかされました。
そして何より大切なのは、親自身も「完璧な対応」を目指さないこと。
子どもと一緒に悩み、一緒に考え、時に迷いながらも「向き合おうとすること」こそが、親としての成長にもつながっていくのだと思います。
この経験があったからこそ、親子の信頼関係が深まり、娘の変化に気づける自分になれた。
今では心から「この経験があってよかった」と思えるようになっています。
小さなトラブルの積み重ねが育てるもの

社会性や共感力を学ぶ場として
子どもにとって、友だちとの関わりはまさに“小さな社会の練習場”です。
一見するとただのケンカや言い合いも、実は「自分以外の誰か」とどう折り合いをつけて生きていくかを学ぶための大切な機会なのです。
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自分の思い通りにならなかったときにどうするか
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相手が怒っているときにどう接するか
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傷ついた気持ちをどう伝えるか、あるいはどう受け取るか
こういったスキルは、大人になってからも必要不可欠な“生きる力”です。
実際、友だちとのちょっとした衝突を経験することで、子どもは「自分の感情」や「他者の気持ち」に向き合うチャンスを得ます。
たとえば、「イヤって言われたのにしつこくしたら、相手が怒った」という体験は、「相手には気持ちがある」「ふざけすぎもよくない」という感覚を育てます。
逆に、こうした経験を避け続けた子は、相手と距離を取ることや、衝突を恐れて自分の意見を言えなくなる傾向もあります。
だからこそ、トラブルを完全になくすのではなく、適切に向き合う経験を積ませることが、社会性と共感力の育成につながるのです。
家でできるトレーニングとは
もちろん、すべての学びを学校や園に任せる必要はありません。
家庭でもできる「小さなトラブルへの対応力」を育てる工夫はたくさんあります。
✅ 家族でのロールプレイ
たとえば、「もしお友だちに“貸して”って言われたらどうする?」「“入れてあげない”って言われたら、どう感じる?」といった“もしも”の会話を親子でしてみましょう。
遊び感覚で進めることで、子どももリラックスして考えることができ、自然と対応力や想像力が育っていきます。
✅ 絵本を通じた感情のやりとり
絵本やアニメを見たあと、「このとき、○○ちゃんはどんな気持ちだったと思う?」「もし自分だったらどうした?」と感情を言語化する練習も効果的です。
物語の中なら、子どもは自分のことのように感情移入しやすく、“気持ちに寄り添う力”を楽しみながら学べる絶好のチャンスです。
✅ 家庭内のすれ違いを共有する
きょうだいや親子間でも、「なんでさっき怒ったの?」「言い方きつかったかな」など、小さな衝突を後から一緒に振り返る時間を持つことも大切です。
「どう言えばよかったかな?」「どうされたらイヤじゃなかった?」と親自身も反省を見せることで、子どもは「人間って、間違ってもいいんだ」「謝ればやり直せるんだ」と体感できます。
こうした日常の積み重ねこそが、子どもにとっての“人との付き合い方”の土台になっていくのです。
親も一緒に“育っていく”意識で
子どもが友だちとのトラブルを経験したとき、親としては「何とかしてやりたい」「もうこんな思いはさせたくない」と強く思うものです。
でも、実際にはそのたびに親自身も揺れ、迷い、学んでいるのだと感じます。
トラブルへの対応を通じて、私たちは少しずつ――
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わが子の「本当の性格」や「感情のクセ」に気づいたり
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感情を整理して寄り添う大切さを実感したり
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先生や他の保護者との付き合い方を学んだり
と、たくさんの成長をさせてもらっています。
親も子も完璧じゃない。
だからこそ、「一緒に成長していく」ことを前提にできたら、どんなトラブルも“無駄な経験”にはなりません。
日々の小さな出来事の中にこそ、子どもが他者を思いやる力や、親が我が子を理解する力が育っていきます。
トラブルは避けるべきものではなく、“育ちの糧”になるもの――そんな風に思えるようになれば、親子関係も、子どもの世界も、もっと豊かになっていくはずです。
まとめ|子どものトラブルを“成長の糧”に変えよう
子どもの友だちとのトラブルは、親にとって不安や戸惑いの連続ですが、それは同時に、子どもが社会性や思いやりを学ぶ大切なステップでもあります。親が冷静に関わり、話を聞き、必要なサポートをすることで、子ども自身も「自分で考え、乗り越える力」を育んでいきます。
完璧な対応を目指すのではなく、まずは“味方でいること”を大切にしながら、子どもの成長を一緒に見守っていきましょう。トラブルを恐れるのではなく、前向きに活かしていく姿勢が、親子の信頼関係を深める第一歩になります。