子どもが「もう部活を辞めたい」と言い出したとき、親としてどうサポートすればいいのか悩みますよね。特に「退部届」を出すとなると、書き方やタイミング、先生への伝え方など、気を使うポイントがたくさんあります。私も以前、娘が部活を辞めたいと言い出したとき、どう手続きを進めればいいか迷いました。
この記事では、退部届の正しい書き方と、トラブルを避けて円満に辞めるためのコツを、実際の体験を交えながらわかりやすく紹介します。
目次
退部届とは?まずは目的を理解しよう
退部届とは、部活動を辞めたいという意志を正式に学校側へ伝えるための大切な書類です。
単なる形式のように思われがちですが、実際には「けじめ」と「信頼」を示す役割があります。
学校や顧問の先生にきちんと提出することで、後々のトラブルや誤解を防ぎ、円満に部活を終えることができます。
たとえば、口頭で「辞めます」と伝えるだけだと、先生によって受け取り方が違うことがあります。
「本人はまだ考え中だと思っていた」「保護者の同意がないと思っていた」などのすれ違いが起こることも。
こうしたトラブルを防ぐためにも、書面で明確に意思を残すことが安心につながります。
退部届が必要になるケース
退部届を提出したほうがよい状況はいくつかあります。特に次のような場合は、書面の提出が望ましいです。
- 顧問の先生が複数いる場合 
 指導者が複数いる部では、情報の伝達ミスが起きやすくなります。誰に伝えたのか曖昧なまま話が進んでしまい、「聞いていない」とトラブルになることも。退部届を出しておけば、全員が同じ認識を持てます。
- 学校側で書類管理が必要な場合 
 特に公立校や部員数の多い学校では、退部の手続きに書類が必須なことがあります。学校によっては「退部届」や「部活動異動届」といった正式な様式が用意されていることもあります。提出を求められたら、指示に従いましょう。
- 保護者として責任を持って退部を申し出たい場合 
 子どもが「辞めたい」と思っていても、先生にうまく伝えられないことがあります。そんなとき、保護者が同意のうえで退部届を提出することで、家庭としての意思が明確になります。
 特に中学生の場合、先生も家庭の意向を重視するため、保護者の署名入りの書面があると安心です。
私の娘の学校でも、最初は「口頭で伝えるだけで大丈夫ですよ」と言われました。
しかし、後日になって「部費の清算がまだ」「退部日がいつだったのか」など、細かな点で混乱が起きてしまったんです。
その経験から、どんなに小さなことでも書面で残しておく大切さを実感しました。
以来、退部や転部といった節目のときは、必ず書面で提出するようにしています。
退部届は単なる形式ではなく、「お世話になった先生や仲間への感謝」と「新しい一歩を踏み出す覚悟」を伝えるツールでもあります。
しっかりと書面でけじめをつけることで、子ども自身も気持ちを整理しやすくなります。
退部届の基本構成と書き方のポイント
退部届には、ある程度決まった書き方や構成があります。とはいえ、特別な形式を覚える必要はありません。
大切なのは「誰に」「どんな理由で」「どう伝えるか」を明確にすることです。
シンプルでも、誠意が感じられる文面であれば十分に伝わります。
基本構成とその意味
退部届は、次の5つの項目で構成されています。それぞれの部分には、きちんとした意味と役割があります。
- 宛名(校長先生または顧問の先生宛) 
 まずは、誰に向けての届け出なのかを明確にします。
 学校によっては「校長先生宛」が正式な場合もありますが、ほとんどのケースでは「〇〇部 顧問 〇〇先生 殿」と書けば問題ありません。
 複数の先生が担当している場合は、代表の先生の名前を記載しましょう。
- 日付 
 書いた日付ではなく、提出する日の日付を書くのが基本です。
 日付は、正式な書類として扱われるため、後から確認が必要になったときにも重要な情報になります。
- 所属(学年・クラス・氏名) 
 どの生徒が提出しているのかを正確に伝えるための部分です。
 特に部員数が多い部活動では、名前だけではすぐに判断できないこともあります。
 「〇年〇組 氏名」のように、正式な表記で書きましょう。
- 本文(退部の意思と理由) 
 退部届の中心となる部分です。
 「一身上の都合により」「勉強に専念するため」など、理由は簡潔で構いません。
 ポイントは、マイナスな印象を与えない前向きな表現にすることです。
 たとえば「練習がつらい」「先生が厳しい」などネガティブな理由は避け、
 「新しいことに挑戦したい」「学業との両立を優先したい」など、建設的な言葉を選ぶと良いでしょう。
- 結びの言葉と署名 
 最後に、感謝の気持ちをひと言添えましょう。
 「これまでご指導いただき、ありがとうございました。」という一文を入れるだけで、印象が大きく変わります。
 形式だけでなく、これまでお世話になった感謝を伝えることが、退部届のいちばん大切な部分です。
書き方のコツと印象を良くするポイント
- 手書きで丁寧に書く 
 最近はパソコンで作成することもありますが、手書きのほうが気持ちが伝わりやすく、誠実な印象を与えます。
 黒のボールペンまたは万年筆を使用し、消えるタイプのペンは避けましょう。
- 文章は短く、わかりやすく 
 退部届は長文で書く必要はありません。
 1〜2行で退部の意思を伝え、感謝を添える程度で十分です。
 形式よりも「正しく・簡潔に・丁寧に」を意識するとバランスが取れます。
- 理由は前向きに・柔らかく表現 
 「成績を上げたい」「進学準備に集中したい」など、将来を見据えた理由は特に好印象です。
 理由を書くことで、先生も理解しやすくなり、円満な退部につながります。
私自身、娘の退部届を書くときには、どんな言葉を使えば角が立たないか、何度も悩みました。
でも、「これまでの感謝を伝える気持ちで書こう」と考えたら、自然と穏やかな文章になったんです。
退部届は「辞める」ための書類ではなく、「ここまでお世話になった感謝を表す手紙」だと捉えると、気持ちの整理もしやすくなります。
実例|中学生の退部届の例文
ここでは、実際に私が娘の退部届を作成したときの実例をもとに、丁寧で印象の良い書き方を紹介します。
中学生の退部届は、長々と理由を書く必要はありません。大切なのは、「誠実さ」と「感謝の気持ち」をきちんと伝えることです。
以下の例文を参考にしながら、お子さんの状況に合わせて調整してみてください。
令和〇年〇月〇日
〇〇中学校 〇〇部 顧問 〇〇先生 殿
〇年〇組 〇〇〇〇
退部届
私、〇〇は一身上の都合により、〇〇部を退部させていただきたくお願い申し上げます。
これまでご指導いただき、心より感謝申し上げます。
このように、形式はとてもシンプルで構いません。
難しい言葉や長い文章を使うよりも、「なぜ辞めるのか」を簡潔にまとめ、「ありがとうございました」と感謝を添えることで、相手に誠意が伝わります。
例文をもとにしたポイント解説
- 宛名には正式な肩書きを入れる 
 「〇〇部 顧問 〇〇先生 殿」と書くことで、形式が整い、きちんとした印象になります。
 学校によっては「校長先生宛」が必要な場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
- 退部理由は簡潔に 
 「一身上の都合により」という言葉は便利で万能です。
 個人的な事情や細かな理由をすべて書く必要はなく、相手が読みやすく受け取りやすい表現を心がけましょう。
 もし理由を具体的にしたい場合は、「学業との両立が難しくなったため」「体調を考慮して」などでも構いません。
- 感謝の一文を忘れずに添える 
 この一文があるかないかで印象が大きく変わります。
 先生方にとっても、部員の成長を支えてきた時間は貴重なもの。
 「これまでご指導いただき、心より感謝申し上げます。」という言葉には、相手への敬意と、円満な関係を保ちたいという気持ちが込められています。
- 手書きで丁寧に書くこと 
 中学生の退部届は、親が代筆することもありますが、本人が自分の字で書くとより誠実に伝わります。
 字が多少曲がっていても、丁寧に書かれた文字はそれだけで真剣な気持ちが伝わります。
 提出前に、誤字脱字や日付のミスがないかを親子で確認しておくと安心です。
私が娘の退部届を出したときも、最初は「こんなに短くて大丈夫かな?」と思いました。
けれども、先生から「きちんと気持ちが伝わったよ」と声をかけてもらい、娘もほっとした様子でした。
退部届は長文を書くよりも、簡潔で心のこもった一枚の紙が、もっとも印象に残るということを実感しました。
顧問への伝え方とタイミングのコツ
退部届は、ただ提出すれば済むものではありません。
伝え方やタイミングを間違えると、先生やチームメイトとの関係に影響が出ることもあります。
円満に退部するためには、「いつ」「どう伝えるか」を慎重に考えることが大切です。
ここでは、私自身の経験を踏まえて、スムーズに伝えるための具体的なステップを紹介します。
1. まずは子ども本人から相談を
最初に動くのは、子ども本人です。
退部の意思は、できる限り本人の口から顧問の先生に伝えるようにしましょう。
その方が、先生も本人の気持ちを直接受け取ることができ、誠実な印象を与えます。
ただし、中学生の場合は緊張してうまく話せなかったり、感情的になってしまうこともあります。
そんなときは、親がそっと寄り添い、フォローする立場に回るのが理想的です。
私の娘も、最初は先生に話す勇気が出ず、職員室の前で涙をこらえていました。
結局、私が一緒に付き添って「実は、本人からお話したいことがあるようです」と切り出しました。
娘がゆっくりと自分の言葉で話し始めると、先生も真剣に耳を傾けてくれて、最後は「よく考えて決めたんだね」と温かく受け止めてくれました。
「親が代弁する」のではなく、「本人の言葉を引き出す」ことが大切だと実感した瞬間です。
2. タイミングは「大会後」や「学期の区切り」がベスト
退部のタイミングは、とても重要なポイントです。
どんなに丁寧に伝えても、時期を誤ると周囲に迷惑をかけてしまうことがあります。
一般的には、次のようなタイミングが理想的です。
- 大会が終わった直後 
 チームの流れが一区切りついた時期であれば、他の部員への影響が少なく済みます。
 また、顧問の先生も一段落しているため、話を受け入れてもらいやすくなります。
- 学期の切り替え時期(終業式前・新学期前など) 
 成績や進路などを見直すタイミングと重なるため、「学業との両立を考えて」という理由が自然に伝えやすいです。
 年度末や新年度に合わせて退部することで、事務的な処理もスムーズに進みます。
一方で、試合直前や文化祭などの行事前は避けたほうが無難です。
部の雰囲気を乱してしまう可能性があるため、できるだけ落ち着いた時期に相談するようにしましょう。
3. 退部の意思を伝えるときの言葉選び
「辞めます」とストレートに言うよりも、「相談があるのですが…」と柔らかく切り出すのがおすすめです。
最初の一言で印象が大きく変わります。
先生にとっても突然の退部は驚きが大きいため、まずは話し合いの形で始めるのが円満な流れです。
たとえば、こんな言い方もできます。
「最近、部活と勉強の両立が難しくて悩んでいます」
「体調のこともあって、少し練習を控えたいと考えています」
こうした言葉から始めると、先生も話を受け止めやすくなり、その後の手続きもスムーズに進みます。
私の経験上、先生に直接話をする瞬間がいちばん緊張しますが、
正直な気持ちを誠実に伝えれば、ほとんどの先生は理解してくれるものです。
焦らず、親子で一度話し合い、「どんな順番で、どう伝えるか」をシミュレーションしておくと安心です。
退部届を出す前の“話す勇気”こそが、次のステップへの第一歩です。
私の体験談|娘の退部を支えた日
娘が中学2年の春、「もう部活がしんどい…」と泣きながら私に話してきた夜のことを、今でもはっきりと覚えています。
そのときの娘の表情には、ただの疲れではなく、心の中に溜め込んだ葛藤がにじんでいました。
顧問の先生はとても熱心で、練習はほぼ毎日。土日も大会や練習試合が続き、家族で出かける時間もほとんどありませんでした。
「部活を辞めたい」と思いながらも、娘は「途中でやめるのは無責任」「仲間に悪いかも」と罪悪感に苦しんでいたのです。
私は、そんな娘の姿を見て胸が締めつけられました。
頑張り屋の娘ほど、自分を責めてしまう。だからこそ、まずは安心して気持ちを話せる時間を作ろうと思いました。
夕食のあと、温かいお茶を入れて、静かに話を聞く時間を設けました。
娘はぽつりぽつりと、「最近、練習が怖い」「怒られるのがつらい」と本音を打ち明けてくれました。
私はその言葉を遮らず、ただ「うん、そうなんだね」とうなずきながら聞きました。
話の最後に、私はこう伝えました。
「辞めるのは逃げじゃないよ。自分の気持ちを正直に伝えるのも、立派な勇気なんだよ。」
その言葉を口にしたとき、娘の目に少し光が戻った気がしました。
頑張ることも大事だけれど、自分を守ることも同じくらい大切。
そのことを、親として改めて教えられた気がした瞬間でした。
翌日、私たちは一緒に退部届を持って学校へ行きました。
職員室の前で緊張して立ちすくむ娘の手を、私はそっと握りました。
扉をノックして中に入ると、先生は少し驚いた表情を見せましたが、娘がしっかりとした声で「退部させてください」と伝えると、静かにうなずいてくれました。
「よく話してくれたね。頑張ったよ。」
先生のその言葉に、娘の目には涙が浮かんでいました。
そして私も、心の中でほっと深く息をつきました。
家に帰る途中、娘が「なんかスッキリした」と笑ったのを見て、思わず涙が出そうになりました。
正直に気持ちを伝えることは、逃げではなく“自分を大切にする行動”なのだと心から感じました。
退部届を出すことは終わりではなく、次のスタートに向けた第一歩。
その日をきっかけに、娘は新しい時間の使い方を見つけ、少しずつ自信を取り戻していきました。
親として子どもの背中を押すことは簡単ではありません。
でも、「辞める勇気」も「続ける勇気」も、どちらも尊い。
それを教えてくれた娘の姿が、今も私の心に残っています。
退部後のフォローも大切に
退部が決まったあとも、学校生活や友人関係は続いていきます。
「退部=終わり」ではなく、これまでの関係をどう保ち、次のステップへつなげるかが大切です。
辞めたあとのフォローを丁寧にすることで、子ども自身の心の整理にもつながります。
ここでは、退部後に意識したい2つのサポート方法を紹介します。
感謝の気持ちを伝える
退部が決まったら、顧問の先生やチームメイトに感謝の言葉を伝えましょう。
「お世話になりました」「これまでありがとうございました」——それだけで十分です。
大切なのは、言葉にして感謝を伝えるという姿勢です。
たとえば、部活の最後の日に先生や仲間に挨拶をしたり、メッセージカードを添えるのも良い方法です。
「〇〇先生のおかげで、〇〇が好きになりました」「一緒に練習できてうれしかった」など、具体的に書くと気持ちが伝わりやすくなります。
私の娘の場合も、退部の翌日に手紙を渡したのですが、先生から「最後まできちんとした態度で偉かったよ」と声をかけてもらい、娘も晴れやかな表情をしていました。
また、SNSやLINEなどで軽く感謝を伝えるのもありですが、可能であれば直接言葉で伝えることが一番誠実です。
「ありがとう」を自分の声で伝えることで、先生や仲間の心にも温かく残ります。
家族でのサポートも忘れずに
退部は、子どもにとって想像以上にエネルギーを使う出来事です。
「これでいいのかな」「みんなにどう思われてるかな」と不安を抱く子も少なくありません。
だからこそ、家庭でのサポートがとても大切になります。
退部後は、勉強の時間が増えたり、自由に過ごせる時間ができたりと、生活リズムが変わります。
急にぽっかり時間が空いて、寂しさや虚しさを感じることもあるでしょう。
そんなときこそ、親がそっと寄り添い、「これから何をやりたい?」「新しいことに挑戦してみようか」と声をかけてあげてください。
次の目標を一緒に考えることで、前向きな気持ちを取り戻せます。
私の娘も退部後、しばらくは放課後の時間を持て余していました。
そこで、家庭科の資格講座を一緒に調べてみたり、料理を手伝ってもらったりして、少しずつ気持ちが切り替わっていきました。
「辞めたから終わり」ではなく、「辞めたからこそ始まる新しい時間」をどう使うか——それを親子で考えることが、退部後の大切なステップです。
退部後のフォローは、ほんの小さな声かけや行動の積み重ねです。
「辞めてよかった」と心から思えるように、家庭での支えを惜しまないことが何よりのサポート。
子どもが前を向いて歩き出せるよう、家族が安心の居場所になってあげましょう。
まとめ|退部届は「けじめ」と「前向きさ」を伝える書類
退部届は、ただの書類ではなく「これまでの感謝と新しい一歩を示すけじめ」です。
大切なのは、辞めることを責めず、次のステップを応援する姿勢です。
親としてできるのは、子どもの決断を尊重し、安心して前に進めるよう背中を押してあげること。
「退部届」は、そのための小さなきっかけになるはずです。














