子どもが学校で避難訓練をした日、連絡帳にその様子を書いてくれていたり、「今日ね、机の下に隠れたんだよ」と少し誇らしげに話してくれること、ありませんか?

そんなとき、私はいつも少し胸がざわつきます。「じゃあ、家ではどうなんだろう?」と。学校では訓練しているのに、家庭の備えはつい後回しになりがち。いざという時、家族でちゃんと動けるだろうか…。

そんな不安を少しでも軽くするために、我が家で実際にやってみて良かった「家庭の避難訓練」と「備え」をまとめました。難しいことを完璧にやる必要はありません。できるところから一つずつ、一緒に整えていけたら安心が増えると感じています。

家庭でも「避難行動の流れ」を共有しておく

学校では先生が声をかけてくれますが、家庭では親の判断がとても大きくなります。だからこそ、「もし地震が起きたら」「火災のときは」といった行動を、家族で共有しておくことがとても大切だと感じました。

我が家では、ある日曜日の夜に家族会議を開いて、「地震がきたらまず何をする?」という話を子どもと一緒に考えました。最初は少し照れくさそうにしていた子どもも、「机、どこに隠れたらいいの?」「外に逃げるのはいつ?」と、実は心の中で不安に思っていたことをたくさん話してくれました。

こうやって言葉にして共有するだけで、「知っている」から「動ける」に少しずつ近づいていくんだなと感じました。訓練と言うほど大げさじゃなくても、「もしもの話をする時間」を作るだけでも意味がありますし、親自身も頭の整理ができて安心感が増します。家庭で避難行動を“話しておく”ことは、子どもの不安を減らす大きな一歩になると感じています。

家の中で安全な場所を一緒に確認する

言葉だけで説明するより、実際に家の中を一緒に歩いて確認してみると、子どもにもぐっとイメージが伝わります。倒れにくい家具の近く、頭を守れる場所、窓ガラスから少し離れた場所…。
「ここなら安心できそうだね」「この棚はちょっと危ないかもね」と親子で話しながら確認すると、ただの説明ではなく“体験”として残ります。実際、我が家の子どもも、「地震がきたらここに入るんだよね」と、自分の避難場所をちゃんと覚えてくれるようになりました。

さらに、「夜だったら?」「お風呂にいたら?」など、少しだけ状況を変えて考えてみると、子どもなりに真剣に考える姿を見ることができて、親としても頼もしく感じました。家庭での防災は難しい知識より、「ここにいれば大丈夫」という安心感を一緒に作ることが大切。親が落ち着いて話し、安心できる場所を“一緒に見つける”ことが、子どもにとって何よりの心の支えになると実感しています。

家族で「集合場所」を決めておく

学校では「校庭」など集合場所が決められていますが、家庭ではそれを自分たちで決める必要があります。災害時、必ずみんなが同じ場所にいられるとは限らないからこそ、集合場所を決めておくのは本当に大切だと感じます。

我が家では、まず「家の前」を第一候補にし、もし建物の崩落や火災などで危険な場合は「近所の公園」、さらに状況が悪ければ「地域の避難所」という順番で決めました。実際に家族で歩きながら確認すると、「ここなら分かりやすいね」「暗い時間でも来られるかな?」と、ただ話すだけでは見えなかったことが見えてきます。道の途中で危険になりそうな場所や、暗くなると見えにくい所にも気づけて、「ここは気をつけようね」と共有できるのも良かった点でした。

そして何より、「ここに集まる」と家族で共通認識を持っているだけで、心の安心感がまったく違います。子どもも、「迷子になってもここに行けば会えるんだ」と理解してくれたようで、表情が少しホッとしたのを覚えています。集合場所を“決めておく”ことは、非常時の行動だけでなく、日常の安心を支えてくれる準備だと実感しています。

子どもが迷わないための声かけ

ただ場所を決めるだけでなく、「どう伝えるか」もとても大事だと思いました。
「ここね」と一言で終わらせるのではなく、「もしお母さんと会えなくなったら、〇〇公園に向かってね」「先生が一緒なら先生の指示を優先してね」と、できるだけ具体的に声をかけるようにしています。そうすると、子どもも「こういう場合はこうするんだ」とイメージがつきやすくなります。

また、何度か繰り返して話すことで、親の中でも整理されていくのを感じました。私自身、「言葉にして伝える」という行動が、自分の不安を少し軽くしてくれている気がします。
さらに我が家では、家族で共有しているメモに集合場所を書き、見える場所にも貼るようにしました。文字として残っていると、「覚えておかなきゃ」と構えすぎなくても良いのが助かります。「どこで会えるか」を家族で共有しておくことは、非常時だけでなく日常の安心にもつながる、とても大事な準備だと感じています。

家庭の備蓄は「完璧」より「続けられる形」で

防災備蓄と聞くと、「しっかり揃えなきゃ」と一気にハードルが上がりますよね。私も最初はそうでした。「何日分必要?」「全部まとめて買うと高いよね…」と悩んでいるうちに、気づけば後回しになってしまう…。きっと同じような気持ちの方、多いと思います。
でも実際にやってみると、いきなり完璧に揃える必要はなくて、「まずは最低限」からでも十分でした。

我が家ではまず、水・非常食・トイレ用品・懐中電灯の4つを優先して準備。水は「1人1日3リットル」が理想と言われていますが、最初からそこを目指すのではなく、2〜3日分から始めました。
たったそれだけでも、「もしもの時、完全にゼロじゃない」という安心感が生まれ、気持ちが本当に楽になりました。“完璧じゃないと意味がない”ではなく、“少しでもあると安心が段違い”という感覚が、とても大切だと感じています。

ローリングストックで負担を減らす

防災の話でよく聞く「ローリングストック」。やってみると、本当に便利でした。
非常食専用の缶詰や長期保存食だけを揃えると、「そのまま棚の奥に眠る→存在を忘れる→気づいたら賞味期限切れ」という流れになりがち。私も以前失敗して、「やっぱり防災って難しい…」と思ったことがあります。

そこで方向転換して、普段から食べているカップ麺・レトルト食品・缶詰を少し多めに常備する形にしました。日常で食べる → なくなった分を補充する、という流れなら特別なことをしている感覚がなく、家計への負担も少なくてすみます。
さらに、買い物のときに子どもと一緒に選びながら、「これ、もし災害のときのごはんにもなるんだよ」と話していると、子ども自身の中にも“防災=特別なこと”ではなく、“暮らしの一部”という感覚が少しずつ育っていくのを感じました。

非常用リュックだけではなく、「普段の棚にある食べ物も防災になる」と思えるようになってから、備えることへのストレスがぐんと軽くなりました。“無理なく続けられる備え方を選ぶこと”こそ、家庭の防災を長く続けていく一番のコツだと実感しています。

子ども自身が「動ける」ようにしておく

親がそばにいない状況を想定するのは、とても勇気のいることですよね。でも同時に、「それでもこの子は大丈夫」と思える準備があると、親の心も少し軽くなると感じています。
我が家では、子ども用に「ミニ防災ポーチ」を用意しました。中身は、小さな懐中電灯、ティッシュ、絆創膏、ホイッスル、そして家族の連絡先を書いたカード。ランドセルにも普段のバッグにも入れておけるサイズにしています。

ただ持たせるだけではなく、実際に手に取らせながら、「これは暗いときに使うものだよ」「困ったら周りの大人に見せてね」と、一つずつ説明しました。すると子どももただ“持っているもの”ではなく、“助けになる道具”として理解してくれるようになりました。これは親にとっても心強い変化でした。子ども自身が“持っているだけで安心”ではなく、“使えるものとして理解している”状態にしておくことが、とても大切だと感じています。

連絡手段も子どもに伝えておく

災害時はスマホや電話が必ず使えるとは限りません。だからこそ「番号が分かる」「誰に助けを求めればいいか分かる」ということ自体が、とても大きな安心材料になります。

我が家では、親と祖父母の電話番号、場合によっては学校や地域の避難所の連絡先もカードに記載し、防災ポーチやランドセルのポケットに入れています。書かれているだけのカードなのに、子どもにとっては「困ったときに頼れるもの」として心の支えになるようで、「これがあるからちょっと安心」と言ってくれたのが印象に残っています。

また、定期的にカードの内容を一緒に見直すことで、「もしこうなったらどうする?」と自然に会話するきっかけにもなります。ただの紙切れではなく、“親子の安心をつなぐカード”になっている感覚です。
「自分にもできることがある」「助けを求められる手段がある」と子ども自身が感じられる準備は、非常時の行動力だけでなく、普段の心の強さにもつながると実感しています。

家庭内の危険を減らす「事前対策」をしておく

避難訓練というと「どう動くか」に目が向きがちですが、実はその前に「家の中の危険を減らしておく」ことがとても大切だと感じています。
地震や災害は突然やってきます。その瞬間、私たちは必ずしも冷静に判断できるとは限りません。だからこそ、「危険をあらかじめ小さくしておく」ことで、被害やケガのリスクを少しでも減らすことができます。

背の高い家具の固定、ガラスの飛散防止フィルム、そして寝室周りの見直し…。やることだけ並べると「大変そう…」と感じてしまいますが、我が家ではまず「優先順位」をつけました。最初に取り組んだのは寝室。寝ている時間は長く、しかも無防備。ここが安全であることは、安心感にも直結します。

枕元に懐中電灯を置く、頭の近くに物を積まない、倒れやすい家具は少し離す。それだけでも、「もし夜中だったら…」という不安が少し軽くなりました。“全部完璧にやる”より、“危険が大きい場所から一つずつ整えていく”ことが、現実的で続けやすい対策だと実感しています。

家族で一緒にチェックすると意識が変わる

もう一つやってみて良かったのが、「親だけで進めない」ということでした。
子どもと一緒に家の中を見て回り、「ここ危ないかもね」「これ倒れたら痛そうだね」と話しながら片づけると、子ども自身が“家の安全を一緒に作っている”感覚を持ってくれるようになります。
ただの片づけとは違う、「家族を守る準備」という意味が生まれると、子どもも自然と真剣な表情になりますし、普段から「ここ置いたら危ないかな?」と考えてくれるようになるのも嬉しい変化でした。

すべてを一度にやろうとすると大変ですが、「今日は寝室」「今度はリビング」「その次はキッチン」と少しずつ進めていくと、無理なく続けられます。
日常の中で少しずつ安全を増やしていくことが、いちばん現実的で、そしていちばん家族を守る力になる防災準備だと感じています。

まとめ|できることから一つずつ、家庭の防災を整えていこう

学校の避難訓練は、子どもにとって大切な学びの時間です。でも、家族が一緒に過ごす「家庭」での備えこそ、子どもの心の安心感を支える土台になると感じています。
家庭での行動手順の共有、集合場所を決める、無理のない備蓄、子ども自身が動ける準備、そして家の安全対策。どれも聞くと「ちゃんとやらなきゃ」と構えてしまいがちですが、すべてを一度に完璧にする必要はありません。むしろ、できるところから少しずつ整えていくほうが、現実的で続けやすい家庭の防災だと感じています。

「今日は集合場所の話だけしてみよう」「今週末は寝室だけ見直してみよう」。そんな小さな一歩でも、積み重ねていくことで家族の安全は確実に強くなっていきます。そして、その準備を家族で一緒に進める時間自体が、子どもにとって“守られている”という安心感につながるのだと思います。
完璧じゃなくても、“備えようとしている家庭”であることが、子どもにとって大きな支えになると感じています。

まずは今夜、ほんの数分でもいいので、家族で少しだけ話してみませんか。「もしもの話」をすることは怖いことではなく、「家族を守るためのやさしい準備」。その一歩が、これからの毎日に静かな安心を届けてくれるはずです。