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急がば回れ例文|子どもと一緒に学ぶ“焦らず進む”知恵と日常の使い方

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「急がば回れ」って、子どもにどう説明したらいいんだろう?
うちでも、娘が宿題を“早く終わらせたい”一心で焦ってミスをしてしまい、「またやり直し…」と落ち込むことがありました。そんなときこそ、このことわざの出番です。

「急ぐときほど、落ち着いて正しい道を選ぶことが大事だよ」と伝えると、娘も「なるほど」と納得。
この記事では、「急がば回れ」の意味を小学生にも伝わるように、家庭で使えるやさしい例文つきで紹介します。親子で「焦らず進むことの大切さ」を話し合うきっかけにしてみてください。

急がば回れの意味をやさしく解説

「急がば回れ」とは、「急いでいるときほど、危険な近道を選ばず、安全で確実な方法を選んだ方が、結果的に早く目的を達成できる」という意味です。
一見すると「急ぐのに回るの?」と不思議に感じるかもしれませんが、これは「焦って近道を選ぶと、かえって時間がかかることがある」という、昔からの教えです。

たとえば、宿題を「早く終わらせたい」と思って焦り、途中の計算を省略してしまうと、後で答え合わせのときに間違いが見つかり、もう一度やり直すことになります。結果的に、最初から丁寧にやっていた方が早く終わったということ、ありますよね。これはまさに「急がば回れ」の典型的なパターンです。

このことわざは、単に“スピードより慎重さ”を大切にするだけでなく、「正しい順番を守る」「丁寧に取り組む」という姿勢の大切さを教えてくれます。
人生や勉強、仕事など、どんな場面にも当てはまる考え方です。

私自身も、夕食の支度を「時間がない!」と焦って進めた結果、調味料を入れ忘れたり、焦がしてしまったりすることがありました。そんなときこそ、「急がば回れ」。一呼吸おいて、手順を確認してから進めると、むしろスムーズに終わることに気づきました。

焦ると視野が狭くなり、ミスが増える。反対に、落ち着いて丁寧に進めると、無駄が減って結果的に早く終わる。
それが、「急がば回れ」の本当の価値なのです。

「急がば回れ」ということわざは、実は室町時代の歌人・宗長(そうちょう)が詠んだ和歌に由来しています。
その和歌がこちらです。

「急がば回れ、瀬田の長橋」

この一句には、当時の交通事情と、人々の暮らしの知恵が詰まっています。
昔、京都から東の国(たとえば鎌倉や関東方面)へ向かうためには、琵琶湖を渡る必要がありました。最短距離を進むなら、船で琵琶湖を横切るのが“近道”です。ところが、この船旅は天候に左右されやすく、風が強い日や波が高い日にはとても危険でした。時には、船が転覆するような事故もあったと伝えられています。

一方、「瀬田の長橋(せたのながはし)」は、滋賀県の瀬田川にかかる大きな橋で、陸路としては少し遠回り。しかし、この道を選べば、天候に左右されず、安全に目的地へ着くことができました。
宗長はその様子を見て、「急ぐなら、かえって遠回りに見える安全な道を選びなさい」と詠んだのです。

この和歌は、単に「道の選び方」を教えるだけでなく、人生や仕事における判断力や冷静さの大切さをも教えてくれます。
目先の効率やスピードを求めすぎると、途中でつまずいたり、やり直しになったりすることがあります。だからこそ、「焦らずに安全で確実な道を選ぶことが、最終的には最短の道になる」という考え方が生まれたのです。

この教えは、現代にも通じます。たとえば、勉強で公式だけ覚えて内容を理解せずに進めても、後でつまずいてしまうことがあります。家事や仕事でも、最初に段取りを整えておいた方が、ミスなく早く終わることが多いですよね。

つまり、「急がば回れ」は昔の交通事情から生まれたことわざでありながら、“焦らず、正しい順番で進むことが成功への近道”という普遍的なメッセージを今に伝えているのです。

小学生でもわかる!やさしい例文集

ことわざを学ぶとき、ただ意味を覚えるだけではなく、実際の生活の中でどう活かせるかを知ることが大切です。
ここでは、子どもたちの日常によくある場面を通して、「急がば回れ」の考え方をやさしく伝えられる例を紹介します。
親子の会話の中で自然に使うことで、子どもも「なるほど、こういうことか」と納得しやすくなります。

宿題のとき

「早く終わらせたい!」と焦るあまり、計算や漢字のミスが増えてしまい、結局やり直すことに…。
そんなときは、親が「もう一度見直してみようか」と声をかけ、ミスに気づかせてあげましょう。

たとえば、こんな会話が生まれます。

「最初から丁寧にやっていたら早く終わったね。まさに“急がば回れ”だね」

このように声をかけることで、「焦らず丁寧にやることの大切さ」を自然に理解できます。
失敗を怒るのではなく、気づきを促すように伝えることがポイントです。

習い事の練習

ピアノや書道、スイミングなど、練習を重ねて上達する習い事にも「急がば回れ」はぴったりの考え方です。

ピアノの練習で、最初から全部通して弾こうとしても、途中でつまずいて止まってしまうことがありますよね。
そんなときは、

「一段ずつゆっくり練習したほうが上手になるよ。“急がば回れ”の気持ちでコツコツね」
と声をかけてあげましょう。

すぐに結果を求めず、地道に積み重ねることで、後々スムーズに弾けるようになります。
「回り道に見える練習こそが、一番の近道になる」ということを、実体験を通して伝えられる場面です。

家事のお手伝い

お手伝いを頑張る子どもも、つい「早く終わらせたい」と焦ってしまうことがあります。
たとえば、洗い物を急ぎすぎて水をはねさせ、キッチンがびしょびしょになってしまったとき。

そんなときこそチャンスです。

「焦ると余計な手間が増えちゃうね。“急がば回れ”ってこういうことなんだよ」
とやさしく伝えることで、「丁寧にやるほうが早い」という気づきを与えられます。

このような日常の小さな“ハプニング”を学びのきっかけにすることで、ことわざの意味がぐっと身近になります。
体験とことわざを結びつけることで、子どもの理解が深まり、記憶にも残りやすくなるのです。

家庭の中には、「急がば回れ」を実感できる場面がたくさんあります。
勉強・練習・お手伝い――どんなシーンでも、「焦らず、丁寧に」「一歩ずつ確実に」という姿勢を育てていけたら、子どもたちは自然と自分の力で物事を進めることができるようになります。

私の体験談|焦りが失敗を呼んだときのこと

ある日の夕方、娘の自由研究を一緒にまとめていたときのことです。
提出日が迫っていて、「今日中に仕上げなきゃ!」と気持ちが焦っていました。
私はプリントした資料を並べながら、「とにかく早く終わらせよう!」とスピード重視で作業を進めました。
ところが、完成間近になってふと見返すと――ページの順番がぐちゃぐちゃ。
目次と内容が合っておらず、すべてを並べ替える羽目になったのです。

そのときの私は、がっかりとため息。
「こんなに頑張ったのに、またやり直しか…」と落ち込みました。
けれど、隣にいた娘がぽつりと一言。

「急がば回れ、だね」

その瞬間、ハッとしました。
私が普段、娘に言っていた言葉を、今度は娘の口から返されたのです。
焦って効率を優先しようとした私に対し、娘はちゃんと“本質”を見抜いていました。
子どもって、大人が思う以上に親の姿をよく見ていますよね。

「たしかにそうだね。焦らず、丁寧にやった方が、いいものができるよね」
そう話しながら、一枚一枚ページを見直し、レイアウトを整え直しました。
時間はかかったけれど、完成した自由研究は、最初よりもずっと見やすく、納得のいく仕上がりに。
そして何より、「急がば回れ」の意味を、娘と私、親子で一緒に体感できたことが大きな収穫でした。

この出来事を通して実感したのは、ことわざの教えは子どもに伝えるだけでなく、親自身にも響くということ。
「早く終わらせたい」と焦る気持ちは誰にでもありますが、そんなときこそ深呼吸をして、もう一度手順を確認する――それが、遠回りに見えて一番の近道なんですよね。

ことわざを生活に取り入れるコツ

ことわざは、ただ「覚えるもの」ではなく、日常の中で実際に使うことで“生きた知恵”になるものです。
特に「急がば回れ」は、忙しい現代の家庭にこそぴったり。親も子どもも、焦りがちな毎日の中で「ちょっと落ち着こう」と思い出せるような合言葉にすると、心にゆとりが生まれます。
ここでは、家庭でことわざを自然に活かすための3つのコツをご紹介します。

1. 失敗のあとに一緒に振り返る

何かがうまくいかなかったとき、つい「だから言ったでしょ!」と口にしてしまうこと、ありませんか?
でも、そこで叱るよりも、「どうしてこうなったのかな?」と一緒に考える時間を持つことで、失敗が“学びのチャンス”に変わります。

たとえば、宿題を急いで終わらせたらミスが多かったとき。
「焦っちゃったね。次はどうすればいいかな?」と問いかけると、子ども自身が「丁寧にやればよかった」と気づけます。
この“気づき”こそが、ことわざの教えを理解する第一歩。
「間違っても、そこから学べば大丈夫」という姿勢を示すと、子どもは安心してチャレンジできるようになります。

2. 親も実践して見せる

子どもは、親の言葉よりも行動をよく見ています。
親が焦ってイライラしていると、その空気はすぐに子どもにも伝わります。だからこそ、まずは親が「急がば回れ」を実践する姿を見せることが大切です。

たとえば、料理中に「早く仕上げよう」と焦って調味料を間違えたとき。
「ママも急ぎすぎちゃった。“急がば回れ”だね」と口にするだけで、親も学んでいる姿を見せられます。
「完璧じゃなくていい。大人も学び続けている」という姿勢が、子どもにとって何よりの手本になります。

3. 家族の合言葉にする

ことわざを日常の中に根づかせるためには、家族みんなで使うのが効果的です。
「焦らずいこう」「落ち着いてね」と言う代わりに、「急がば回れ!」を合言葉にしてみましょう。

たとえば、朝の支度でバタバタしているときに、誰かが「急がば回れ〜!」と笑いながら声をかける。
それだけで、ピリッとした空気が少しやわらぎます。
小さな一言ですが、「焦ってもうまくいかないよね」という共通認識が家庭に根づくと、毎日の雰囲気が穏やかになります。

ことわざを“言葉の知識”から“家族の文化”に変えていく。
それが、親子で楽しく学びながら生きる力を育むコツです。

まとめ|焦る気持ちを一呼吸おいて、確実に進もう

「急がば回れ」は、子どもだけでなく、忙しい私たち大人にも響く言葉です。
家事や仕事、子育てに追われていると、つい「早く!」「今すぐ!」と焦りがち。
でも、焦りを抑えて丁寧に進めることで、結果的にスムーズに終わることが多いですよね。

今日からは「うまくいかないな」と感じたときこそ、一呼吸おいて「急がば回れ」を思い出してみましょう。
焦らず、確実に。親子でそんな姿勢を共有できたら、きっと毎日がもっと穏やかに過ごせるはずです。