久しぶりに連絡を取りたいけれど、いきなりの連絡は気が引ける——そんな時にぴったりなのが「暑中見舞い」です。しかし、「ご無沙汰している相手にどう書けばいいの?」と悩む方も多いはず。
実は、ちょっとした気遣いの言葉を添えるだけで、心の距離はぐっと縮まります。本記事では、友人・上司・先生などさまざまな相手に使えるご無沙汰時の暑中見舞い文例やマナーをわかりやすく紹介。手紙やメールにそのまま使えるフレーズ集もご用意しています。この夏、思いやりを込めた一通で、関係を再スタートしてみませんか?
目次
暑中見舞いの基本とマナー
暑中見舞いとは?その意味と目的
暑中見舞いとは、夏の盛りの時期に、相手の健康を気遣い、暑さへの配慮や日頃の感謝を伝えるために送る季節の挨拶状です。もともとは、お中元と並ぶ日本の夏の贈答文化の一つとして広まりました。古くは、お盆の帰省や暑さ見舞いに品物を持参したり、直接訪問する文化がありましたが、現代ではそれが簡略化され、はがきや手紙を通じた挨拶に変化しています。
暑中見舞いは、家族や友人との関係を再確認する手段としてはもちろん、ビジネスシーンでも「礼儀正しい夏のご挨拶」として活用されており、社会人としてのマナーの一部ともいえます。また、相手が元気かどうか気遣いを示すだけでなく、自分自身の近況報告にもつながるため、双方向のコミュニケーションツールとしても役立ちます。
最近では、はがきだけでなく、メールやLINEなどのデジタルツールで送る暑中見舞いも増えており、より気軽に思いを伝えられるようになっています。
暑中見舞いのマナーと書き方
暑中見舞いを送るタイミングは、梅雨明けから立秋(例年8月7日頃)までが基本的なマナーです。特に関東地方では梅雨明け後すぐに出すことが多く、「暑さが本格化した頃」が目安となります。立秋を過ぎた場合は「残暑見舞い」に切り替えるのがマナーなので注意しましょう。
文面では、以下のような構成を意識すると丁寧な印象を与えることができます。
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冒頭の季節の挨拶(例:「暑中お見舞い申し上げます」)
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相手の健康を気遣う言葉
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自身の近況報告や一言メッセージ
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相手の健康や幸せを祈る結びの言葉
例えば:
暑中お見舞い申し上げます。
厳しい暑さが続きますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
こちらはおかげさまで元気に過ごしております。
くれぐれもご自愛くださいませ。
また、ビジネス相手には「ご清栄」「ご健勝」「ご多幸」などの丁寧な表現を使い、個人宛てにはより柔らかい表現を使うなど、相手との関係性に応じて文体を調整するのもポイントです。
挨拶状としての暑中見舞いの重要性
現代では、電話やSNSなどで簡単に連絡が取れる反面、「あえて手紙で送る」暑中見舞いには特別な価値があります。特に長く会っていない相手や、年賀状以来音沙汰のない方に対しては、ご無沙汰を詫びるきっかけとしても効果的です。
たとえば、
「すっかりご無沙汰しておりますが、○○様にはお変わりありませんか?」
といった文面を添えることで、相手への配慮や誠意が伝わりやすくなります。
また、ビジネスの場においては、暑中見舞いを送ることが企業イメージの向上にもつながり、さりげない気遣いが信頼関係の構築に寄与します。節目の挨拶として、「ちゃんと覚えてくれている」という好印象を残すことができるため、年賀状と並ぶ季節の重要なご挨拶といえるでしょう。
ご無沙汰のお詫びと近況報告
ご無沙汰しておりますの表現例
「ご無沙汰しております」は、長期間連絡をしていなかったことを丁寧にお詫びする表現です。暑中見舞いでは、この一言があるだけで文章に誠実さが加わります。以下のような例文を使うと、相手への思いやりが自然に伝わります。
表現例:
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「長らくご無沙汰しておりましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。」
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「久しくご連絡もせず、申し訳ありません。」
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「ご無沙汰している間に季節はすっかり夏となりました。」
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「なかなかお会いする機会もなく、月日の流れを早く感じております。」
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「お元気でいらっしゃることと願いつつ、筆をとりました。」
相手との関係性によって、少しかしこまった印象を出したい場合は「申し訳ございません」などの敬語を使用し、友人や親しい相手にはややカジュアルにまとめるとよいでしょう。
近況報告の仕方と注意点
ご無沙汰している相手には、自分の近況を簡単に伝えることで、相手に安心感を与えたり、今後の会話のきっかけを作ることができます。
近況報告の例:
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「最近は在宅勤務が続き、健康管理に気を遣う毎日です。」
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「新しい趣味として家庭菜園を始めました。小さな成長が楽しみです。」
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「子どもたちも元気に過ごしており、毎日がにぎやかです。」
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「仕事では新たなプロジェクトに取り組んでおり、充実した日々を送っています。」
注意点:
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あまりにも個人的すぎる話や、ネガティブすぎる話題(病気・トラブル等)は避けるのが無難です。
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相手と共有できる話題や、少し前向きなトーンで締めると好印象です。
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相手に質問を投げかけると、返信を促す効果もあります。
例:
「○○さんはこの夏、何かご予定はありますか?またお聞かせいただけると嬉しいです。」
相手を気遣うご無沙汰の挨拶
ご無沙汰のお詫びや近況報告に加えて、相手の体調や生活を気遣う一言を添えることで、文章がより温かく、心のこもった印象になります。
表現例:
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「暑さ厳しき折、どうかご自愛くださいませ。」
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「日差しの強い毎日が続いております。体調を崩されませんように。」
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「ご家族の皆様もお変わりなく、お健やかにお過ごしのことと存じます。」
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「夏バテなどされませんよう、涼しくお過ごしくださいませ。」
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「どうか無理をなさらず、くつろげるひとときを大切になさってください。」
このような気遣いの言葉は、相手への心配りが伝わるだけでなく、日本人らしい礼儀正しい印象も与えます。形式的になりすぎず、自然な言葉でまとめることがポイントです。
友人向けの暑中見舞い例文
友人に送るおしゃれな例文
暑中お見舞い申し上げます。
ご無沙汰しておりますが、お元気でお過ごしでしょうか?
私の方は相変わらず慌ただしい日々ですが、なんとか元気に過ごしています。
最近は少しずつ時間の流れが早く感じられるようになり、ふとあなたのことを思い出しました。
また近いうちに、涼しいカフェかどこかでゆっくりおしゃべりでもできたら嬉しいです。
暑さが続きますので、体調にはくれぐれも気をつけてくださいね。
ポイント:
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季節の挨拶+さりげない懐かしさ+再会への期待
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相手を思い出した“理由”や“場面”があるとリアル感が増します。
短いメッセージの文例
暑中見舞い申し上げます!
最近なかなか会えず、ちょっぴり寂しく感じています。
それでも変わらず元気にしているかな?と、ふと思いました。
お互い、夏バテしないようしっかり食べて乗り切りましょう!
時間ができたら、ぜひまた近況を聞かせてくださいね。
ポイント:
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3〜5行でまとまるSNS向け・LINEやメールにぴったりな文量
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体調を気遣う+「また話そうね」のひと言で温かみを演出
日常を振り返る友人への暑中見舞い
暑中お見舞い申し上げます。
暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?
この間ふとアルバムを整理していたら、学生時代の写真が出てきて懐かしさに浸っていました。
あの頃、真夏の教室でクーラーもない中、アイスを分け合ったのを覚えていますか?
今ではお互い忙しい日々ですが、あの笑顔だけはずっと心に残っています。
またあんなふうに、気取らず話せる時間を一緒に過ごせたらと思っています。
暑さ厳しき折、どうぞ体調に気をつけて、元気に夏を乗り切ってくださいね。
ポイント:
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共通の思い出を具体的に描写することで、読者の心をぐっと引き寄せます
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“また会いたい”という気持ちを、押しつけず柔らかく伝えるのがコツ
目上の方への暑中見舞い文例
上司への適切な挨拶文
暑中お見舞い申し上げます。
ご無沙汰しておりますが、○○様におかれましては、ますますご健勝にてご活躍のこととお慶び申し上げます。
私自身は日々業務に邁進しておりますが、暑さが一段と厳しくなる中、改めて○○様のご指導のありがたさを感じております。
今後とも変わらぬご厚誼のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
酷暑の折、くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
✔︎ ポイント
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「お慶び申し上げます」で相手を敬う姿勢を強調
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「今後のご指導への感謝」+「暑さへの配慮」を含め、好印象に
先生への暑中お見舞いの表現
暑中お見舞い申し上げます。
ご無沙汰しており申し訳ございませんが、先生にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
在学中は多くの学びと気づきを頂き、今なおそのご教示が日々の糧となっております。
近況のご報告も兼ねて、ささやかながら暑中見舞いをお送りいたします。
益々のご健勝とご活躍を、心よりお祈り申し上げます。
✔︎ ポイント
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教え子らしい「学びへの感謝」の言葉を入れると、誠実な印象に
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「ささやかながら〜」など、へりくだりの表現も丁寧さを演出
ビジネスシーンでの気遣い
暑中お見舞い申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。
皆様におかれましては、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
猛暑の折、御社の皆様におかれましても体調を崩されることなく、健やかにお過ごしになられますようお祈り申し上げます。
今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
✔︎ ポイント
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「平素は格別の〜」で始めると、ビジネス文書らしい堅実さが出せる
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「御社全体への気遣い」を加えることで配慮のある印象に
暑中見舞いの書き出し・結び
書き出しのフレーズ集
暑中見舞いの冒頭では、時候の挨拶にあたる表現を使い、季節の様子と相手の健康を気遣う文から始めるのが一般的です。堅めの表現から親しみのあるものまで、以下のような書き出しがよく使われます。
■ フォーマルな表現(ビジネス・目上の方に)
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「盛夏の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」
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「暑中お見舞い申し上げます。貴社ますますご発展のことと存じます」
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「盛夏の折、○○様におかれましては、ご健勝にてお過ごしのことと拝察いたします」
■ カジュアル・親しい方向け
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「暑さ厳しき折、いかがお過ごしでしょうか」
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「夏の陽ざしがまぶしい毎日が続いていますが、お元気ですか?」
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「今年も蝉の声がにぎやかになってきました。いよいよ本格的な夏ですね」
時候の挨拶に続けて、「暑中お見舞い申し上げます」という文言を挿入し、本文へとつなげていくのが基本的な流れです。
結びの言葉とその使い方
文章の締めくくりでは、相手の健康や今後の活躍を願う一言を添えます。相手との関係性に合わせて、丁寧語・謙譲語を選ぶとより自然です。
■ 汎用的で丁寧な結び
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「くれぐれもご自愛くださいませ」
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「今後とも変わらぬご厚誼のほど、よろしくお願い申し上げます」
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「暑さ厳しき折、皆様のご健康をお祈り申し上げます」
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「残暑なお厳しき折、どうかご無理のないようお過ごしください」
■ カジュアルな結び(友人・同僚などに)
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「暑さに負けず、元気に夏を楽しみましょう!」
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「またお会いできる日を楽しみにしています」
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「この夏もお互い健康第一で過ごしましょうね」
締めの言葉は、文全体の印象を左右する重要な要素です。改まった文章には少し堅めの敬語を、親しい関係では気取らない語調を意識するとよいでしょう。
暑中見舞い特有の表現方法
暑中見舞いには、一般的な手紙と異なる独自のマナーや表現があります。特に注意すべき点は以下の通りです。
■ 「お見舞い申し上げます」の使い方
「暑中見舞い申し上げます」や「暑中お見舞い申し上げます」という表現は、暑さによる体調不良などへの気遣いの意味を込めた言葉です。通常の手紙のような「拝啓〜敬具」や「前略〜草々」といった挨拶は不要です。
■ 使用時期にも注意を
「暑中見舞い」は梅雨明けから立秋前(8月7日頃)までが目安です。立秋を過ぎると「残暑見舞い」に切り替えるのがマナーです。そのため、文中にも「盛夏」「暑中」といった季節語を使い分けるようにしましょう。
■ 宛名の表記やレイアウト
はがきで出す場合は、文頭中央に「暑中お見舞い申し上げます」と大きく記し、本文はその下に続けるのが一般的な書式です。宛名や日付も忘れず、丁寧な印象を心がけましょう。
電子メッセージでの暑中見舞い
ラインやメールでの例文(カジュアル向け)
LINEやカジュアルなメールでは、絵文字やスタンプを添えた短めの文章が好まれます。ただし、ご無沙汰している相手や年上の方には少し丁寧な口調を心がけると印象が良くなります。
■ カジュアルな友人向け例文①
ご無沙汰してます☀️暑中見舞い申し上げます!
暑い日が続いてるけど、元気にしてるかな?
私は最近ちょっと夏バテ気味…。お互い体に気をつけて乗り切ろうね!
■ カジュアルな友人向け例文②
暑中お見舞い申し上げます🌻
なかなか会えず寂しいけど、元気そうでなにより♪
落ち着いたらまたご飯でも行こうね🍧✨
■ 少し丁寧な表現(年上の方やビジネスカジュアルに)
ご無沙汰しております。暑中お見舞い申し上げます。
猛暑が続いておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか?
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
どうかご自愛のうえ、健やかに夏をお過ごしくださいませ。
デジタルで伝える健康の気遣い(工夫とアイデア)
文章だけでは少し味気なく感じることもありますが、スタンプや写真、絵文字、背景画像などを活用することで、季節感や温かさを演出できます。
■ 季節感を感じるアイデア例:
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🌻ひまわりや金魚、スイカなどの絵文字やスタンプを入れる
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🧊冷たいドリンクや涼しげな海の写真を添える
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LINE背景に夏のイメージを設定して送る
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メールに「季節の一言コーナー」を設けるのも◎
■ ひと工夫で印象アップ!
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「あなたのことを気にかけています」というメッセージが伝わると、文章が短くても温かみが出ます。
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相手が忙しい時期を想定して、「返信は気にせず」と一言添える配慮も大切です。
ビジネスメールでの適切な表現(フォーマル例文+解説)
暑中見舞いのご挨拶をビジネスメールで送る場合は、件名の工夫と本文の簡潔さ、敬語表現のバランスがポイントです。
■ 件名例:
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【ご挨拶】暑中お見舞い申し上げます(会社名・氏名)
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暑中お見舞いのご挨拶/○○株式会社 ○○より
■ 本文例:
○○株式会社
○○部 ○○様いつも大変お世話になっております。○○株式会社の○○でございます。
暑中お見舞い申し上げます。
連日の厳しい暑さが続いておりますが、貴社の皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より格別のご厚情を賜り、心より御礼申し上げます。まだまだ猛暑が続きます折、皆様のご健勝とご発展をお祈り申し上げます。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。敬具
■ ポイント:
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会社全体に向ける場合は「貴社の皆様」、個人宛てなら「○○様」に。
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季節のご挨拶→感謝→健康への気遣い→今後のお願いという流れが定番。
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長くなりすぎないよう、3〜5段落で簡潔にまとめると◎。
残暑見舞いとその書き方
残暑見舞いの時期と意義
残暑見舞いとは、暦の上での立秋(例年8月7日ごろ)を過ぎてから出す夏のご挨拶のことです。立秋を過ぎても実際にはまだ暑さが続くため、「残る暑さの中で相手の健康を気遣う」という意味合いを持っています。
■ 残暑見舞いを出す適切な時期:
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8月7日(立秋)〜8月末までが目安
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遅くとも 処暑(8月23日ごろ)までには届くようにするのがベター
■ 残暑見舞いの主な用途:
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暑中見舞いの代わり(出しそびれた場合のフォロー)
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お盆の帰省後の挨拶や、お中元のお礼
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ビジネスシーンでの礼状・ご無沙汰のご挨拶
ビジネスマナーとしても定着しており、丁寧な印象を与える夏の終わりのご挨拶として重宝されています。
残暑見舞いの文例集(用途別に複数紹介)
■ 一般的な丁寧な文例
残暑お見舞い申し上げます。
暦の上では秋となりましたが、まだまだ厳しい暑さが続いております。
皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。
体調を崩されませんよう、くれぐれもご自愛くださいませ。
■ ビジネス向け(上司・取引先宛て)
残暑お見舞い申し上げます。
貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
連日の暑さが続く折、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
今後とも変わらぬご厚誼のほど、よろしくお願い申し上げます。
■ カジュアルな友人向け
残暑お見舞い申し上げます!
立秋とはいえ、まだまだ夏真っ盛りですね〜。
体調崩してない?元気に過ごせているといいな!
また近いうちにゆっくり会えたら嬉しいです🍉
■ ご無沙汰の相手に
残暑お見舞い申し上げます。
長らくご無沙汰しておりますが、お元気でお過ごしでしょうか。
相変わらずの暑さが続いておりますが、お身体にお気をつけてお過ごしください。
またお目にかかれる日を楽しみにしております。
忘れがちな残暑の挨拶(注意点と活用法)
「暑中見舞いを出しそびれてしまった…」という場合でも、残暑見舞いで丁寧にフォローすることができます。むしろ、時期をわきまえて残暑見舞いに切り替えることは、日本ならではの季節感を大切にしている証にもなります。
■ こんなときにも活用できる残暑見舞い:
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お中元のお礼を後日伝えるとき
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退職・異動・転居などの近況報告を兼ねたいとき
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喪中で年賀状が出せなかった方へのご挨拶
■ 注意点:
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「暑中お見舞い申し上げます」は使わず、必ず「残暑お見舞い申し上げます」と表記する
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8月末を過ぎて送る場合は、「晩夏のご挨拶」として柔らかい表現に変更するのもあり
季節感を取り入れた表現
暑中見舞いに季節感を込める意義
暑中見舞いは、単なる安否確認ではなく、その時期ならではの風景や空気感を共有する手紙でもあります。季節の言葉を丁寧に織り交ぜることで、文面に奥行きと温かみが生まれ、読み手に「自分のために書かれた手紙だ」と感じてもらうことができます。
特に日本には四季折々の美しい言葉や風物詩が多く存在し、それらをうまく取り入れることで、手紙はぐっと情緒豊かになります。
■ 取り入れたい夏の表現キーワード例:
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セミの声/夕立/ひぐらし
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風鈴/打ち水/涼風
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ひまわり/朝顔/金魚
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花火/祭囃子/浴衣
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青空/入道雲/蝉しぐれ
■ ワンフレーズで季節を伝える例:
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「セミの鳴き声がにぎやかに響く季節となりました」
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「涼しげな風鈴の音が、夏の午後に心地よく感じられます」
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「夜空に広がる花火を見て、ようやく夏を実感しました」
文例から学ぶ季節の挨拶(情景描写付き)
■ 丁寧な表現例(ビジネス・目上の方に)
夏の陽射しが強く感じられる今日この頃、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
近くの公園ではひまわりが満開となり、まぶしいほどに咲き誇っています。
この暑さの中、ご健勝にてお過ごしのことと存じます。
■ カジュアルで親しみのある表現(友人・知人向け)
セミの声が響き渡る季節となりましたが、お元気にしていますか?
こちらでは夕方になると涼しい風が吹くようになり、少しだけ夏の終わりを感じています。
暑さに負けず、元気でお過ごしくださいね。
■ 季節のイベントを取り入れる表現
先日は地元の夏祭りで花火を楽しみました。
浴衣姿の子どもたちや屋台のにぎわいに、どこか懐かしさを感じました。
皆様にも夏の素敵な思い出が訪れますように。
生活の中の季節感の大切さ
現代ではデジタル化や冷暖房の普及により、季節の移ろいを感じにくい生活環境になってきました。しかし、手紙や挨拶文の中に季節の表現を織り交ぜることで、日常に自然の息吹を取り戻すことができます。
相手に「季節を感じてもらう言葉」を届けることは、心を通わせるきっかけとなります。とりわけ暑中見舞いは、普段なかなか会えない人とのご縁を温め直すチャンスでもあります。
■ 季節感が相手との距離を縮める理由:
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同じ季節を共有していることを実感できる
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情景が浮かぶことで、言葉に温度と表情が生まれる
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書き手の人柄や心遣いが、文面を通して伝わる
特殊な状況に応じた例文
コロナ禍でのご無沙汰への挨拶
暑中お見舞い申し上げます。
コロナ禍により、なかなかお会いする機会もなく、すっかりご無沙汰してしまい申し訳ございません。
皆様にはお変わりなくお過ごしでしょうか。
暑さに加え、感染症対策など気の抜けない日々が続いておりますが、どうかお身体を大切に、健やかに夏をお過ごしくださいませ。
一日も早く、安心してお会いできる日が訪れますよう心より願っております。
✦ ポイント:
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相手の生活状況を思いやる言葉が大切
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「再会への願い」や「変わらぬつながり」も添えると好印象
喪中の場合の適切な挨拶文
暑中お見舞い申し上げます。
このたびはご不幸に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
暑さの厳しい季節となりましたが、ご遺族の皆様にはご無理などなさいませんよう、ご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
故人のご冥福をお祈りするとともに、○○様にとって少しでも心安らぐ夏となりますよう願っております。
✦ ポイント:
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「お悔やみの言葉」と「暑さへの配慮」を組み合わせて構成
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明るい話題や個人的な近況は避け、静かな調子を心がける
出産や結婚の報告を含む暑中見舞い
暑中お見舞い申し上げます。
ご無沙汰しておりますが、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
私事で恐縮ですが、先日○○(例:第一子を無事に出産いたしました/入籍いたしました)ことをご報告申し上げます。
新しい生活に戸惑いつつも、毎日がとても新鮮で喜びに満ちた日々です。
今後とも温かく見守っていただけますと幸いです。
暑さ厳しき折、くれぐれもご自愛のうえ、よき夏をお過ごしください。
✦ ポイント:
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「私事で恐縮ですが」と断りを入れると控えめで丁寧な印象に
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自分の喜びだけで終わらず、相手への気遣いの言葉で締めくくる
まとめ|ご無沙汰の相手へ、今こそ気持ちを届けよう
暑中見舞いは、ただの季節の挨拶ではなく、ご無沙汰している相手との関係を温かくつなぐ絶好のチャンスです。形式ばらずとも、相手を思いやる一言があれば、それだけで十分気持ちは伝わります。
本記事でご紹介した文例やマナーを参考に、あなたらしいメッセージを添えてみてください。手書きのはがきでも、メールやLINEでも構いません。大切なのは「今、伝えること」。この夏、ぜひ一歩踏み出して、心の距離を縮めてみましょう。