「片付けなさい!」と何度言っても、おもちゃは床に散らかったまま。
毎日同じことで注意して、最後は親が片付ける……そんな状況に疲れていませんか。

私自身も、「どうしたら自分で片付けるようになるんだろう」と何度も悩みました。しつけが足りないのか、まだ年齢的に無理なのか。それともやり方が悪いのか。
でも、ある“きっかけ”を境に、少しずつ状況が変わっていったんです。

この記事では、わが家でおもちゃの片付けが習慣になるまでに試したこと、失敗したこと、そして「これは効いた」と感じた工夫を、実体験ベースでまとめました。
完璧を目指さなくて大丈夫。今日からできる小さな一歩が、きっと見つかるはずです。

片付けられないのは「やる気」ではなかった

最初に私が感じていたのは、「この子は片付ける気がないんじゃないか」という疑問でした。
何度声をかけても動かない様子を見ると、つい「わざとやらないのでは」と思ってしまっていたんです。

でも、ある日あらためて子どもの様子をじっくり観察してみて、考えが大きく変わりました。
ふざけているわけでも、反抗しているわけでもない。ただ立ち尽くしている。そこには「やらない」のではなく、「どうしていいか分からない」戸惑いがありました。

子どもにとって片付けは“分からない作業”

大人にとって「おもちゃを元に戻す」という行為は、ほぼ無意識にできることです。でも子どもにとっては、実は考えることがたくさんあります。

・このおもちゃはどこに戻すのか
・同じ箱に入れていいのか、それとも分けるのか
・床にあるものを全部拾えば終わりなのか

こうした判断を一度に求められると、頭の中がいっぱいになってしまうんですよね。

「全部片付けて」と言われても、何から手をつければいいのか分からない。
どこまでやれば正解なのかも分からない。
その結果、動けなくなってしまう。私はそれを「やる気がない」と勘違いしていました。

今振り返ると、片付けない=できない状態に置かれていただけだったのだと思います。
できないことを前に立ち止まっているだけなのに、大人の都合で「やらない子」にしてしまっていたのかもしれません。

この気づきがあったからこそ、「どうやるか分かる形にしてあげよう」と考えるようになり、少しずつ次の工夫につながっていきました。

「片付けなさい」を言わなくなった理由

わが家で最初に意識してやめたのは、片付けのやり方そのものよりも「声のかけ方」でした。
正確に言うと、「片付けなさい」という命令口調を使うのをやめた、というほうが近いです。

それまでは、散らかった部屋を見るたびに反射的に言っていました。
でも、その言葉を聞いた瞬間の子どもの表情は、たいてい固まるか、聞こえないふりをするかのどちらか。
今思えば、やる気が出ないのではなく、「また怒られる」「楽しい時間が終わる」という合図になっていたのだと思います。

言い方を変えただけで空気が変わった

ある日、試しに言い方を変えてみました。
「片付けなさい」ではなく、「次にこれで遊ぶには、どうしたらいいかな?」と聞いてみたんです。

すると、すぐに片付けたわけではありませんが、子どもが一度おもちゃを見て、考えるようになりました。
そして少し間を置いて、「じゃあ、しまう?」と自分から口にしたんです。

遊びを中断させる命令ではなく、次につなげる問いかけにしただけで、空気がガラッと変わったのを感じました。
片付けを「やらされること」ではなく「考える選択肢」にしたことが、大きかったのだと思います。

片付けを“罰”にしないと決めた

以前の私は、片付けを「言うことを聞かなかったときにさせるもの」にしてしまっていました。
だから子どもにとっては、片付け=楽しくない、怒られる、面倒なこと、というイメージが強くなっていたはずです。

声かけを変えてからは、片付けを罰にしないことを意識しました。
遊びを取り上げる前提ではなく、「次どうする?」と一緒に考える時間にする。
それだけで、子どもの受け取り方がまったく違ってきました。

もちろん、毎回うまくいくわけではありません。
それでも、「片付けなさい」と言わなくなったことで、親のイライラが減り、子どもとのやり取りが穏やかになったのは確かです。

片付けを習慣にする前に、まず親の言葉を少しだけ変えてみる。
それが、わが家にとって一番最初の大きな一歩でした。

収納を見直したら、行動が一気に変わった

言い方を変える工夫も効果はありましたが、それ以上に「これは違う」と実感したのが、収納の見直しでした。
声かけをどれだけ工夫しても、片付けるまでに時間がかかる日が続いていたんです。

よく見てみると、子どもは片付けようとしていないのではなく、片付けにくい環境の中で立ち止まっているだけでした。
そこで、「どう声をかけるか」より先に、「どう戻すか」を根本から考え直すことにしました。

子ども目線に変えただけで動きが変わった

それまでの収納は、完全に大人目線でした。
種類ごとに細かく分け、ラベルを貼り、見た目も整っている。
でも子どもにとっては、引き出しが重かったり、どこを開ければいいか迷ったりと、ハードルが高かったんです。

そこで思い切ってルールを減らしました。

・ケースは一目で入れられる大きさ
・細かい分類はやめて、ざっくりまとめる
・毎日使うおもちゃは一番手前、腰の高さに置く

この形に変えた途端、片付けの様子が目に見えて変わりました。
迷う時間が減り、動きが止まらなくなったんです。

以前は「どこだっけ?」と聞かれていたのが、「ここに入れるんだよね」と自分で判断するようになりました。
「戻しやすい場所」があるだけで、声をかけなくても体が動く。それを初めて実感しました。

収納を整えるというより、「考えなくても片付けられる形にする」。
この視点に切り替えたことが、わが家では行動を変える一番の近道でした。

「一緒にやる」を続けて気づいたこと

正直に言うと、最初から「一人で片付けてね」と任せるのは無理だと感じていました。
声をかけても動けない理由が「分からない」ことにあると分かっていたので、しばらくは割り切って一緒に片付けることにしたんです。

当時は、「いつまで手伝えばいいんだろう」「これって甘やかしにならないかな」という迷いもありました。
それでも、目の前で困っているのに突き放すより、まずは隣に立って同じ動きをしてみようと思いました。

手伝う=甘やかしではなかった

実際に一緒にやってみて感じたのは、「覚えさせる」よりも「見せる」ことの大切さでした。
私が何も言わずに、同じ箱に入れ、同じ順番で動く。それを隣で見ているだけで、子どもは少しずつ流れをつかんでいったように思います。

「これは先に入れるんだよ」「次はこっち」と細かく説明しなくても、繰り返すうちに自然と動きがそろってきました。
ある日、「ここはこっちだよね」と子どもから言われたときは、本当に驚きました。

教え込んだわけでも、練習させたわけでもありません。
ただ一緒にやっていただけなのに、ちゃんと順番やルールが伝わっていたんです。

この経験から、見て覚える時間も、立派な習慣づくりの一部だと感じるようになりました。
一人でできるようになる前に、誰かと一緒にやる段階がある。それは遠回りではなく、必要な過程だったのだと思います。

今でも、調子が悪そうな日は一緒に片付けます。
でも、それを「後戻り」だとは思わなくなりました。
一緒にやる時間があるからこそ、また一人でできる日に自然と戻っていく。そんな感覚です。

片付けを任せる前に、まずは並んで動く。
その時間が、子どもにとっても、親にとっても、安心して習慣を育てる土台になっていました。

できたことを“評価しすぎない”工夫

片付けが少しずつできるようになってきた頃、次に悩んだのが「褒め方」でした。
できたことは認めたい。でも、褒めすぎると逆に動かなくなる気もする。実際、わが家ではその違和感が当たっていました。

日常に溶け込ませる声かけを意識した

最初は、片付けてくれたら「えらいね!」「すごいね!」と大げさに褒めていました。
すると最初のうちは嬉しそうにしていたのですが、だんだん「褒められるときだけやる」雰囲気が出てきたんです。

そこで声かけを変えました。
「えらいね!」ではなく、「きれいになったね」「助かったよ」「これで次に遊びやすいね」。
結果や効果をそのまま伝えるようにしただけで、空気がぐっと自然になりました。

子どもも「評価されるかどうか」を気にする様子が減り、淡々と片付けることが増えたように感じます。
片付けを“特別な成功体験”にしなかったことが、習慣として根づいた理由のひとつでした。

片付けをイベント化しない

以前の私は、「今日はちゃんと片付けられたね」と一日の締めのように扱っていました。
でもそれだと、片付けが“頑張る行事”になってしまいます。

今は、歯を磨くのと同じ感覚で捉えています。
できたら淡々と受け止め、できない日があっても深く触れない。
この距離感にしてから、片付けが生活の流れの一部として自然に組み込まれていきました。

褒めないわけではありません。
ただ、持ち上げすぎず、期待を背負わせすぎない。
そのバランスが、長く続けるうえではとても大切だったと感じています。

うまくいかない日があっても大丈夫

ここまでいろいろ工夫してきましたが、正直に言うと、毎日うまく片付くようになったわけではありません。
疲れている日もあれば、遊びに夢中で切り替えられない日もあります。そんな日は、以前と同じように部屋が散らかったままになることもあります。

戻る日があっても気にしない

以前の私は、「せっかく習慣になってきたのに」「ここで崩れたら元に戻る」と焦っていました。
その焦りが、そのまま強い声かけにつながり、結果的に空気が悪くなることも多かったです。

でも、あるときふと思いました。
大人だって、毎日同じように家事ができるわけではありません。
体調や気分、忙しさによって、後回しにする日があって当たり前です。

それに気づいてからは、できない日があっても深く追い込まないようにしました。
親が手伝う日があってもいいし、「今日はここまででいい」と区切る日があってもいい。
翌日にまとめて片付ける選択肢があってもいいんです。

この考え方に変えてから、気持ちがとてもラクになりました。
片付けは「毎日完璧にできること」ではなく、「できない日があってもまた戻れること」
そう思えるようになったことで、習慣そのものが続きやすくなったと感じています。

片付けがうまくいかなかった一日があっても、それで全部が台無しになるわけではありません。
むしろ、そんな日をどう受け止めるかが、長く続けるうえでの大切なポイントでした。

まとめ|おもちゃの片付け習慣は“仕組み”で育つ

おもちゃを自分で片付けるようになるまで、正直なところ、すぐに結果が出たわけではありません。
少し良くなったと思ったら戻ったり、できる日とできない日を繰り返したり。
それでも続けてこられたのは、「何か特別なことをしなきゃ」と思わなかったからだと思います。

わが家で意識してきたのは、とてもシンプルなことでした。

・分からない作業にしない
・戻しやすい場所を作る
・命令しない
・一緒にやる時間を大切にする
・完璧を求めない

この一つひとつは小さな工夫ですが、積み重なることで確実に変化がありました。
子どもが変わったというより、子どもが動きやすい“仕組み”に整えただけだったのだと思います。

以前の私は、「ちゃんと片付けさせなきゃ」「習慣にしなきゃ」と力が入りすぎていました。
でも今は、片付けは生活の一部であって、しつけの成果を測るものではないと感じています。

もし今、「うちも毎日片付けでバタバタしている」「声かけに疲れてしまった」と感じているなら、まずは収納を一つだけ見直してみてください。
全部変える必要はありません。よく使うおもちゃの置き場所を、少しだけ戻しやすくする。それだけで十分です。

その小さな変更が、思っている以上に大きな“きっかけ”になることもあります。
焦らず、比べず、あなたの家庭のペースで。
おもちゃの片付け習慣は、無理をしなくても、ちゃんと育っていきます。