「うちの子、最近ひとりでいることが多いな…」そんな様子を見ると、胸がぎゅっと締めつけられるような不安が出てきますよね。私も息子が幼稚園で「遊ぶ相手がいない」と話してきた時、どう支えればいいのか分からず悩んだ経験があります。でも、親ができるサポートは思っているよりずっとシンプルでした。

この記事では、子どもが友達作りにつまずいた時に家庭でできる関わり方や、実際に私が効果を感じた声かけをまとめました。今日から優しく取り入れられる方法ばかりなので、ぜひお子さんに合うものを見つけてあげてください。

子どもに友達ができない理由を“決めつけない”ことから始める

子どもが園や学校でひとりでいる姿を見たり、家で「今日は誰とも遊ばなかった…」とつぶやかれたりすると、胸がぎゅっと痛くなりますよね。
私も同じ経験があり、「どうして？」「うちの子に何か問題があるのかな…」と必要以上に不安を大きくしてしまったことがあります。

でも、実際には “友達ができないように見える時期＝問題がある” とは限らない ことのほうが多いのです。ここを冷静に理解しておくことで、親の関わり方もずっと優しいものになります。

年齢特有の成長段階によるもの

3〜6歳ごろの子どもは、そもそも「1人遊び」をしながら自分の世界に没頭することが多い時期です。
この段階は友達を避けているわけではなく、自分のペースで安心できる遊び方を選んでいるだけのこともよくあります。

たとえば、昨日はずっと一人で積み木をしていた子が、翌日は同じクラスの子と一緒に砂遊びをしていたり…。
子どもたちの関係は、私たち大人が想像する以上に ゆるやかで、その日その時の気分で変わりやすい のです。

「友達がいないように見えた＝孤立している」と考えるのは早すぎる場合もあります。

環境の変化に慣れていない

入園・進級・転園など、環境が変わる時は大人でも心が疲れるほどです。
子どもならなおさら、新しい生活に馴染むには時間が必要です。

特に、
・クラス替え
・先生が変わる
・新しい習い事が始まった
こうした“小さな変化”でも、子どもにとっては大きな負担になることがあります。

「最近、急に一人でいることが増えたな」と思ったら、環境の変化が影響しているかもしれません。

子どもが安心できる場所を取り戻すには時間が必要で、決して“友達ができない性格”のせいではないことも多い という視点を持ってあげたいところです。

子ども自身のペースがある

大人にも「すぐ打ち解けられる人」と「慣れるのに時間がかかる人」がいますよね。
子どもも同じで、初対面の子といきなり遊べるタイプもいれば、まず周りの様子をじっと観察する子もいます。

どちらが良い・悪いではありません。
むしろ、“慎重に距離を測れる子” は、人間関係を丁寧に築ける強みを持っていることもあります。

親としてはつい心配になってしまいますが、
「この子はこの子のペースで世界に馴染んでいく」
そう信じて見守る姿勢が、子どもの安心につながります。

“まだ友達ができていない＝問題”と決めつけないことが大切

子どもが友達を作るスピードは本当にさまざまです。
早く輪に入れる子もいれば、じっくり相手を知りながら少しずつ関係を築く子もいます。

どちらのタイプもその子らしさであり、無理に変える必要はありません。
むしろ、心配しすぎて「もっと友達つくりなさい」と急かすことで、逆に自信をなくしてしまうケースもあります。

だからこそ、親が意識したいのは “今の姿をそのまま受け止めることが、その子にとっての安心の土台になる” ということです。

家庭が安心できる場所であれば、子どもは外の世界でも少しずつ挑戦していけるようになります。

家庭でできる子どもの気持ちの受け止め方

子どもが友達関係でつまずいている時、いちばんの拠り所になるのは「家庭」です。外で頑張っている分、家では安心して気持ちをほどける場所が必要になります。
ただ、「どう声をかけてあげればいいんだろう…」と迷うこともありますよね。私も息子が悩んでいた時期には、励ますべきか、そっとしておくべきか、何度も悩みました。

ここでは、家庭でできる“心の土台づくり”として、特に効果を感じた関わり方を紹介します。

子どもの“気持ちをそのまま返す”だけで安心につながる

子どもが「今日は誰も遊んでくれなかった…」と言う時、その裏には“寂しい”“恥ずかしい”“悔しい”など、まだうまく言葉にできない気持ちが隠れています。
親としてはつい励ましたくて、

・「そんな日もあるよ」
・「気にしなくていいよ」
・「明日はきっと大丈夫」

と言ってしまいがちですが、これらは一見ポジティブでも、子どもによっては「気持ちをわかってもらえなかった」と感じてしまうことがあります。

そこで役立つのが“気持ちの反射（ミラーリング）”です。

「誰も遊んでくれなかった」
→ 「そっか…そんなことがあったんだね。悲しかったよね」

このように、そのままの気持ちを言葉にして返すだけで、子どもは驚くほど安心します。
「気持ちを否定されない」ことが、子どもが安心して次の一歩を踏み出すための力になるからです。

また、反射の言葉は特別な言い方でなくてもかまいません。
「そうだったのね」
「嫌な気持ちになったんだね」
ただ一緒に感じてあげることで、子どもの心がふっとゆるむ瞬間があります。

家庭での小さな成功体験を増やす

友達作りにつまずいている時、子どもは自分でも気づかないうちに自信をなくしていることがあります。
そんな時こそ、家庭で“できた”という体験を増やしてあげることがとても大切です。

たとえば、
・テーブルを拭くなどのお手伝いをしてもらい、「助かったよ、ありがとう」と伝える
・ブロックで作った作品を「これすごいね！」と具体的に褒める
・家族遊びの中で「協力するとできる楽しさ」を一緒に味わう

こうした小さな積み重ねは、外で一歩踏み出す勇気につながります。

ポイントは、
「すごいね！」ではなく、できたことを具体的に言葉にすること
です。

「この部分を自分で考えて作ったんだね！」
「ここを手伝ってくれたから早く片付いたよ！」
と伝えるだけで、子どもは“自分はできるんだ”という感覚を取り戻しやすくなります。

小さな成功体験が積み重なると、
・少し勇気を出して話しかけてみよう
・昨日より一歩前に出てみよう
という前向きな気持ちを育ててくれます。

友達づくりの練習になる“家庭でのコミュニケーション”

友達を作るのが苦手に見える子でも、実は“やり方が分からないだけ”ということがあります。
そこで役立つのが、家庭の中で自然にできるコミュニケーションの練習です。家は、子どもにとっていちばん安心できる場所。その安心の中で練習するからこそ、外でも少しずつ実践できるようになります。

家族との会話がそのまま「友達とのやりとり」の練習になる

友達作りに欠かせないのは、相手との会話のキャッチボールです。大人にとって自然な会話でも、子どもにとっては意外と難しく、最初の一言が出てこなかったり、どう返せばいいか分からなくなったりすることがあります。

だからこそ、家での会話がとても大切になります。

「今日どんな遊びしたの？」
「それ楽しかった？どう感じた？」
「明日はどんなことしてみたい？」

こんなふうに、質問の幅を少し広げていくだけで、子どもは“自分の気持ちを言葉にする”練習ができます。これはそのまま、友達との会話を続ける力につながっていきます。

また、親が子どもの言葉をしっかり聞いてあげることで、
「話していいんだ」「話すって楽しいんだ」
という気持ちが育ち、自分からコミュニケーションをとろうとする力にもつながります。

家の中で安心して会話ができる時間が増えるほど、外での対話にも自信を持てるようになるのです。

“きっかけの言葉”を一緒に考えて練習する

友達づくりにおいて、実は多くの子がつまずくのが「最初の一言」です。
「どう言って誘えばいいのか分からない…」
「断られたらどうしよう…」
そんな不安が大きくて、話しかける前に心が止まってしまう子も少なくありません。

我が家では、そんな時に“話しかける一言”を前日の夜に一緒に考えるようにしていました。

たとえば、
・「一緒に遊ぶ？」
・「そのおもちゃ、貸してもらってもいい？」
・「これ楽しいよ。一緒にどう？」

短くてシンプルな一言で十分です。
大事なのはその子自身の言葉で言えること。

親子で一緒に声に出して練習すると、子どもは翌日の行動に迷いがなくなり、驚くほどスムーズに話しかけに行けることがあります。

また、練習する時は、
「もし断られても大丈夫だよ。別の子に言ってみればいいし、それも練習だよ」
という安心もそっと添えてあげると、子どもの心のハードルがぐっと下がります。

きっかけの一言があるだけで、子どもの世界は本当に大きく変わります。
話しかけられたことが成功体験となり、「できた！」という自信が次の一歩につながっていきます。

保育園・学校の先生と連携するタイミングと相談ポイント

子どもの友達関係の悩みは、どうしても家庭の中だけで解決しようとしてしまいがちです。私自身も「家でできることは全部やってあげたい」と思って抱え込み、結果的に不安を大きくしてしまったことがあります。
でも、実際には保育園や学校で子どもと過ごす先生は、私たちよりも長い時間、日中の姿を見ています。子どもの交友関係や困りごとが家庭とは違う側面で表れることも多く、先生の視点を知ることで状況が一気に整理されることがあります。

家庭だけで抱え込まないことも大切

先生は、家庭では見えない「子どものもう一つの姿」を知っています。
例えば、

・誰とよく話しているのか
・遊びたい気持ちはあるのか
・トラブルがあったのか、ただ一人遊びを好んでいるだけなのか
・さりげなく輪に入ろうとしているのか

こうした日中の様子を教えてもらうと、「あれ、家で聞いていた状況と違う」と驚くこともあります。

ある時、息子が「今日も一人だった」と言った日がありました。でも先生に聞いてみると、実は別の男の子の近くでずっと同じ遊びをしていて、「本人なりに距離を縮めようとしている」と教えてくれたんです。
その話を聞いたとき、子どもが見ている世界と、親が受け取る言葉のすれ違いがあることに気づき、肩の力がふっと抜けました。

家庭で抱える不安も、先生の視点を加えることで「実は前に進めている途中なのかもしれない」と見え方が変わることがあります。

相談する時のポイント

先生に相談するときは、できるだけスムーズに状況を共有できるよう、いくつかのポイントを押さえておくと安心です。

① 「家でこんなことを言っていて…」と事実を淡々と伝える

感情的に「なんとかしてください」と言う必要はありません。
「最近、家でこう話すことが増えて…」「こんな様子が気になって…」と、淡々と事実だけを伝える方が、先生も受け取りやすくなります。

② 相手や原因を責める言い方をしない

「誰かに嫌われているんでしょうか？」
「うちの子だけいつも一人なんですか？」
といった“断定的な言い方”は、先生も状況を説明しづらくなってしまいます。
原因を決めつけず、「もし気になることがあれば教えてください」と、協力の姿勢を示すと良い関係が築けます。

③ 家庭でできるサポート方法を一緒に考えてもらう

先生は、日中の子どもの姿を踏まえてアドバイスしてくれます。
・「こういう遊びの場面で関われています」
・「この子とは相性が良さそうです」
・「家ではこう声をかけてあげると良いかもしれません」
といった具体的な提案がもらえることも。

家庭と学校が同じ方向を向いてサポートできると、子どもはとても安心します。
“自分はひとりじゃない” と感じられる環境が、子どもの背中をそっと支えてくれる のです。

子どもが自分のペースで友達を作れるようになる声かけ例

友達づくりに悩んでいる子どもには、「どう言葉をかけてもらえたか」が大きな支えになります。
子どもは毎日、小さな勇気を振り絞って外の世界に出ています。だからこそ、家ではその勇気をそっと補給できるような声かけが大切です。

ここでは、実際に私自身が子どもの様子に合わせて使ってきた声かけを、シーン別にまとめました。どれもすぐに使えて、子どもの気持ちに寄り添えるものばかりです。

落ち込んでいる時の声かけ

友達とうまく関われなかった日、子どもの心は思っている以上にしょんぼりしています。
そんな時に大切なのは、励ます前に「気持ちを受け止めること」。

「うまくいかなかったんだね。教えてくれてありがとう」

この声かけには、
・失敗を責めない
・気持ちを受け止める
・話してくれたことに感謝する
という3つのメッセージが込められています。

すぐに「大丈夫だよ」と言うと、子どもは「この気持ち、感じちゃいけないのかな」と思ってしまうことがあります。
まずはしっかり受け止めてあげることで、子どもは安心して次の話を続けられます。

「気持ちを受け止めてもらえた経験」は、子どもが心を開くための大きな土台になります。

挑戦を後押しする声かけ

子どもは「どうすれば仲よくなれるのか」が分からず、行動を起こせないことがあります。
そんな時、親ができるのは闇雲に背中を押すのではなく、“軽い一歩”を用意してあげること。

「ひと言だけでいいから、明日やってみたい言葉ある？」

ここで大切なのは、
・無理に誘導しない
・選ぶのは子ども自身
という姿勢です。

たったひと言の練習でも、子どもにとっては大きな挑戦になります。
自分で選んだ言葉を持って登園・登校するだけで、心の準備がぐっと整い、「今日は言ってみようかな」という前向きな気持ちが育ちます。

自信を育てる声かけ

友達づくりにつまずいている時は、子ども自身も気付かないうちに自己評価が下がっています。
そんな時に必要なのは、「できている行動」を丁寧に拾ってあげること。

「あなたが〇〇してあげていたの、先生から聞いたよ。優しいね」

・行動を具体的に伝える
・その行動がどんな価値を持っているか言葉にする
この2つを心がけると、子どもは“できている自分”を実感できます。

「優しいね」「えらいね」だけではなく、
「〇〇してあげたから相手が嬉しかったと思うよ」
と、行動の意味を伝えてあげるとさらに気持ちが整います。

子どもは、具体的に褒められた経験の積み重ねで、自分に自信を持ち始めます。

できた時の声かけ

友達づくりに向けて一歩踏み出せた時、その瞬間をしっかり言葉にしてあげましょう。

「話しかけられたんだね！すごいよ。どんな気持ちだった？」

頑張った行動を認めたうえで、
「どんな気持ちだった？」と感情に寄り添うと、子どもは喜びを自分の中で再確認できます。

この“成功体験の言語化”がとても大切で、
・やってみたら楽しかった
・ちょっと緊張したけど、できて嬉しかった
など、感情と行動が結びつくことで、次の挑戦がさらにしやすくなります。

子どもの中に「できた私」という記憶が増えるほど、友達づくりへの前向きな気持ちも育っていきます。

まとめ｜今日ひとつだけ“子どもの気持ちを受け止める行動”をしてみよう

友達作りにつまずいている時、子どもは周りからは見えない 小さな不安や寂しさを胸に抱えながら、それでも毎日外の世界へ出ていっています。
その頑張りに気づいてあげられるのは、やっぱりいちばん近くにいる私たち大人です。

友達ができるスピードは本当に人それぞれで、誰かと一気に仲良くなる子もいれば、ゆっくり距離を縮める子もいます。
どちらが正しいということはありませんし、ペースが遅いように見えても、それはその子の“慎重さ”や“丁寧さ”の表れであることもあります。

だからこそ、親ができることは「状況を変えようと急かすこと」ではなく、まずは 子どもが安心して戻ってこられる場所をつくること。
そのために役立つのが、次のような小さな行動です。

・子どもの言葉を否定せずに受け止める
・気持ちをそのまま返してあげる
・明日使う“ひと言”を一緒に考えてあげる

どれも難しいことではありません。
むしろ日々の中で少し意識するだけで、子どもの表情は変わり、心の緊張が少しずつほどけていきます。

そして、この小さな積み重ねこそが、
「自分は大丈夫」「失敗してもまた挑戦できる」
という、子どもにとっての大きな心の土台になります。

今日、できそうなものをひとつだけでいいので取り入れてみてください。
その一歩はきっと、子どもの明日の勇気につながり、ゆっくりでも確実に友達関係を築く力を育ててくれます。