娘の初節句、せっかくだから祖父母も呼んでお祝いしたい。でも、「呼ばないのは失礼?」「料理や準備はどうすればいい?」と悩む方も多いですよね。私も最初のひな祭りのとき、祖父母を招くかどうかで夫と話し合いました。

この記事では、祖父母を招くときのマナーや過ごし方のコツを、実体験をまじえてお伝えします。無理をせず、家族みんなが笑顔で過ごせるひな祭りにしましょう。

祖父母を呼ぶかどうかの判断ポイント

ひな祭りに祖父母を呼ぶかは、家庭の状況や関係性によって変わります。「呼ぶのが正解」「呼ばないのが非常識」といった決まりはありません。

私も初めてのひな祭りのとき、義母から「せっかくだから見に行きたい」と言われ、正直少し戸惑いました。準備の負担や人を招く緊張もありましたが、結果的には「呼んでよかった」と思える時間になりました。とはいえ、家庭によって最適な形は違います。迷ったときは、次の3つの視点で考えてみると、自分たちに合った答えが見つかりやすくなります。

1. 祖父母との距離感や関係性を軸に考える

まず大切なのは、日頃の関係性です。頻繁に会っていて気心が知れている場合は、気軽に「おひなさま見に来ませんか?」と声をかけても問題ありません。
一方で、あまり会う機会がない場合や、義理の関係で気を遣うような間柄なら、あえて呼ばない選択も決して悪くありません。

たとえば、遠方に住んでいる祖父母を無理に招くと、移動が負担になることもあります。特に冬から春にかけては天候も不安定で、体調を崩しやすい時期。相手を思いやって「写真や動画で共有する」という形を選ぶのも、立派なお祝いの一つです。
“会うこと”よりも、“思いを伝えること”が大切と考えると、選択肢が広がります。

2. 子どもの年齢と家庭の負担を踏まえて

初節句の時期は、赤ちゃんがまだ生後数ヶ月〜1歳前後と、とてもデリケートな時期。環境の変化や長時間の来客が、知らず知らずのうちに負担になることもあります。
私も娘の初節句のときは、「せっかくだから」と頑張りすぎてしまい、当日ぐずってしまった経験があります。

無理のない形を選ぶなら、「今年は写真だけ、来年は食事会」というように、少しずつお祝いの形を変えていくのがおすすめです。写真だけでも立派なお祝いになりますし、後から見返すとそのときの成長がしっかり残ります。
また、祖父母にとっても「元気な姿を見せてもらえた」ことが何より嬉しいもの。お祝いの規模よりも、子どもが穏やかに過ごせる環境を優先するのがポイントです。

3. 祖父母や配偶者の希望をさりげなく聞いておく

最後に、夫婦だけで決めずに、祖父母の意向を軽く聞いておくのも大切です。
「行くのが楽しみ」「準備が大変なら無理しなくていいよ」といった一言で、方向性がすっと決まることもあります。中には「お祝い金を渡したいから顔を出したい」という方もいれば、「写真だけで十分」と言う方もいます。

私の家庭では、義母が「料理は気にしなくていいから一緒に写真を撮りたい」と言ってくれたので、食事はデリバリーで済ませました。それでも十分に和やかな時間を過ごせました。
祖父母の「気持ちを尊重しながらも、自分たちのペースを守る」ことが、円満なお祝いにつながります。

呼ぶか呼ばないかで悩むのは、子どもを思う気持ちがあるからこそ。どんな形であっても、家族みんなが笑顔で過ごせる時間を意識すれば、それが最も温かいひな祭りのお祝いになります。

祖父母を招くときの基本マナー

ひな祭りはあくまで家庭内の行事ですが、祖父母を招くときは少しの配慮で満足度が大きく変わります。以下のポイントを押さえておくと、準備も当日運営もぐっとラクになります。

食事は「手作り」でも「仕出し」でもOK

“全部手作り=正解”ではありません。主役はあくまで子どもと家族の時間。私は「一品だけ手作り(例:ちらし寿司・はまぐりのお吸い物・桜餅)」+「他は仕出し・デリ」で回すと、片付けまで含めて負担が激減しました。

アレルギーや嚥下(のみこみ)のしやすさ、塩分・固さは事前に祖父母へ確認。使い捨て容器を皿に移して見栄えを整える“ひと手間”と、電子レンジ・電気ポットの同時稼働で温度管理を。無理をしない段取りが、家族の笑顔を増やす最短ルートです。

招待のタイミングと伝え方

1〜2週間前までに、日付・開始時間・所要時間(例:2時間)をセットで連絡。「おひなさまを一緒に見て、軽くお昼を食べませんか?」のように柔らかい表現にすると受け取る側も安心です。併せて、最寄駅・駐車場・エレベーター有無、天候不良時の代替案(日時変更/オンライン参加)も添えると親切。

メッセージ例
・「3/3(日)11:30〜13:30、自宅でささやかに。日時・所要時間・集合場所の3点を明記しますね。食事は軽め、手ぶらでどうぞ。」
・「今年は写真撮影中心。滞在は1〜1.5時間ほどを予定しています。」

当日の服装やおもてなし

清潔感が第一。淡い色トップス+落ち着いたボトムの“写真映え”を意識すると、集合写真がまとまります。来客側には靴下の履き替えを用意(新生児がいる家庭では特に衛生面で安心)。室温20〜22℃目安・加湿40〜60%、祖父母用の座布団やひざ掛け、段差・コードの養生、トイレの案内表示も準備すると快適です。

撮影は最初に“全員集合”→“祖父母と孫の2ショット”→“家族ごと”の順で短時間に。雛人形に触れるときは手指のアルコール乾燥後に台座だけ持つルールを共有。おもてなしは「安全>快適>写真」の順で整えると失敗がありません。

手土産・会費の受け方

「手ぶらで」と伝えても、当日にお祝い・手土産をいただくことがあります。受け取ったらその場で感謝を伝え、荷物置き場を案内。お返しは“半返し目安”か、写真台紙・焼き菓子など気持ちの品で十分です(のし表書きは「内祝」「桃の節句内祝」)。当日現金の授受は場が硬くなりやすいので、後日のお礼状+写真で温かくフォロー。高価な品より“写真や時間を共有する体験”がお互いに心地よく残ります。

写真撮影・共有のマナー

明るい窓辺で逆光回避、立ち位置は雛壇に対して斜め45度を意識。スマホは連写→後で厳選、2〜3枚は“見せたい家族ショット”をその日のうちに送ります。共有はアルバムリンク+ベスト3枚をメッセージに添付すると親切。SNS投稿は顔出し可否を必ず確認し、位置情報はオフに。「当日夜までに1枚送る」を小さな約束にすると、感謝の気持ちが鮮度よく届きます。

この5点を押さえておけば、肩の力を抜いた“わが家らしい”ひな祭りが叶います。準備は最小限、思い出は最大限に。

祖父母を呼ばない場合の伝え方とフォロー

仕事や距離、体調や天候などで招待が難しい年もあります。大切なのは「断る」よりも「気持ちが伝わる形で共有する」こと。ここでは角を立てずに気持ちよくお断りし、その後も関係が温かく続くための具体策をまとめます。

呼ばない理由は正直に、短く丁寧に

理由は長く説明しなくて大丈夫。事実+気持ちのひと言で十分です。“配慮しながらも、はっきり伝える”のがコツ。
メッセージ例
・「今年は子どもがまだ小さくて、当日は家で静かに過ごします。落ち着いたら改めて一緒にお祝いしたいです」
・「遠方からの移動が負担になりそうなので、今回は私たちだけで。写真をすぐ送りますね」
・「流行性の感染症も心配なので、今年は来客なしにします。無理を言ってごめんなさい」

“申し訳なさ”を詰め込みすぎると相手も気を遣います。簡潔に理由を伝えたら、代替案につなげましょう。

写真や動画で共有する

当日は「撮る順番」を決めておくとスムーズ。雛人形の前で家族写真→祖父母宛ての“手を振る短い動画”→子どものソロ写真の順で数分で撮影。
送付はその日のうちにベスト3枚+10〜20枚のアルバムリンクを。コメントは一言でOK。「元気に成長しています。来年は一緒に撮れますように」のように、近況+前向きな言葉を添えると温度が伝わります。

プライバシー面が気になる場合は、家族限定アルバムやパスコード付き共有を利用。SNSに載せるときは事前に可否を確認しておくと安心です。

次の機会につなげる

断りっぱなしにせず、具体的な“次”を提示します。
・「春休みにそちらへ行けそうなので、そのときに雛人形の写真を一緒に見ましょう」
・「ゴールデンウィークに帰省できたら、遅ればせながらの“ひなランチ会”を」
・「オンライン通話で10分だけ、雛壇の前からビデオを繋ぎませんか」

日程が未確定でも「目安の時期」を出すと、祖父母も楽しみに待てます。

お祝い・手土産をいただいた場合のフォロー

招待せずとも、お祝い金や贈り物をいただくことがあります。受け取り後24時間以内にお礼の連絡を入れ、後日ポストカードや写真台紙を送ると気持ちが伝わります。半返しをする場合は日持ちする菓子やカタログギフト、写真入りの簡単なメッセージカードを添えて。金額より“タイミングと心のこもった一言”が印象を決めます。

当日の連絡と事後のひと言で、関係をより温かく

当日の朝に「今日はこんな飾り付けです」など準備写真を1枚、夜に“ベストショット1枚+アルバムリンク+短いお礼”の二段構えが効果的。
事後のメッセージ例
・「今日はメッセージありがとうございました。写真アルバムを送りました。次に会える日を家族で楽しみにしています」
・「動画、笑って見てくれてありがとう。体調に気をつけてね。また近況を連絡します」

呼ばない選択は冷たい対応ではありません。相手を思いやり、自分たちのペースを守るための工夫です。丁寧な言葉と小さな共有を積み重ねれば、距離があっても心は近くに保てます。

祖父母と過ごすひな祭りの楽しみ方

来てくれた祖父母にとっても心に残る一日にするために、準備は“盛りだくさん”より“ポイント集中”。写真・会話・小さなイベントの3本柱で組み立てると、無理なく温かい時間になります。

写真撮影を中心に

撮影は最初の15分で一気に。子どもが元気なうちに進めるのがコツです。

  • ショット順:全員集合 → 祖父母と孫の2ショット → 家族ごと

  • 立ち位置:雛壇に対して斜め45度。逆光はカーテン越しの自然光でやわらげる

  • 小道具:小さな扇子・桃の枝・名前札(顔より小さいサイズ)

  • 設定:スマホは“連写”と“ライブフォト”をON、タイマー+簡易三脚があると安定

  • 仕上げ:その場でベスト2枚を祖父母へAirDrop/LINE。残りは夜にアルバムリンクで共有
    雛人形に触れるときは、手指を乾いた状態にして台座だけ持つルールを共有すると安心です。

思い出話を交える

撮影後は温かい飲み物と一緒に、祖父母の子ども時代のひな祭りを聞く時間を。“聞き手に回る姿勢”がいちばんのごちそうです。

  • きっかけ質問:「どんな雛人形だった?」「当日のごちそうは?」「写真は残ってる?」

  • ミニ記録:スマホのボイスメモで1〜2分だけ録音(了承を得て)。後で文字起こししてフォトブックに添えると宝物に

  • 歌でつなぐ:「うれしいひなまつり」を小声で口ずさみ、孫が知っているフレーズだけ参加

  • 昔の写真があればテーブルに置いて“見ながら話す”と会話が弾みます

一緒に楽しむミニイベント

長時間の宴会より、10〜15分の“プチ企画”を挟むと子どもも飽きません。

  • 折り紙の紙雛づくり:折る→顔を描く→スマホで作品と記念撮影

  • ひなあられ食べ比べ:色の意味(白=雪、緑=木々、黄=土、桃=花)を話題に

  • 甘酒(ノンアル)・いちごミルクの乾杯:祖父母は湯のみ、子どもは小さめグラスでおそろいに

  • ひな壇クイズ:段の名前や飾りの役割を3問だけ
    “短く切り上げる勇気”が成功のカギ。盛り上がったら次回の楽しみに回します。

祖父母が過ごしやすい環境づくり

快適さの土台があると、笑顔の密度が上がります。

  • 席:立ち座りしやすい“椅子+ローテーブル”か、厚め座布団&ひざ掛けを用意

  • 動線:雛壇の前はコードをまとめ、段差には目立つテープでマーキング

  • 室温・湿度:20〜22℃・40〜60%。喉が乾きやすいので常温の水も常備

  • 滞在時間:最初に「今日は2時間くらい」と共有。“時間の見通し”があると体力配分がしやすい

  • 体調配慮:香り強めのアロマ・生花の花粉は控え、アレルギー表示のある菓子を選ぶ

プレゼントやお礼の品

“高価”より“タイミングと気持ち”。「当日中のひと言+後日の写真」が最強コンボです。

  • 当日:小さな焼き菓子や茶葉、孫の描いたカードを手渡し

  • 後日:ベストショット+短文のお礼(ポストカード or LINE)。時間があればA5サイズのフォト台紙やミニフォトブック(8〜12ページ)

  • メッセージ例:「来てくれてありがとう。〇〇が『おばあちゃんと歌ったの楽しかった』と言っていました。また一緒に撮りましょう」

  • お祝いを頂いた場合:半返し目安で日持ち菓子orカタログ。のしは「内祝/桃の節句内祝」

この3本柱(写真・会話・ミニイベント)を“短時間で回す設計”にしておくと、子どもも祖父母も負担が少なく、余韻の残るひな祭りになります。

トラブルを防ぐためのポイント

祖父母を招くときに起こりがちな“ちょっとした行き違い”は、事前に一言添えるだけでほとんど回避できます。ここでは、私が実際に気をつけて効果があったポイントを具体策つきでまとめました。

食事代やプレゼントのやりとり

「お祝いをもらったのに、どうお返しすれば…」は迷いがち。基本は“当日のお礼+後日のフォロー”の二段構えで整えます。

  • 受け取り方:玄関で立ったまま受けず、リビングで座ってから。「お気持ち嬉しいです。大切に使わせていただきます」と短く。

  • お返し目安:「半返し」または“気持ちの品”で十分(日持ち菓子・茶葉・写真台紙など)。のしは「内祝/桃の節句内祝」。

  • タイミング:24時間以内にお礼の連絡→3〜7日以内にお返し。

  • 予防線:招待文に「軽いお昼をご一緒するだけなので手ぶらでどうぞ」と一文を添えると、当日の授受が減ります。

家族間の温度差を調整

「夫の実家は来やすいけど、私の親は遠方…」など、バランス問題は“完璧な平等”より“無理なく継続”を優先。

  • 交互ルール:今年は夫側、来年は私側…と“隔年”にする。

  • 役割分担:来宅できない側には「写真係」や「アルバム編集係」をお願いして、関わりを作る。

  • メッセージ例:「移動が負担にならない形で長く続けたいので、今年は〇〇家で、来年はそちらで一緒に撮りましょう」。

  • “できる範囲で気持ちを共有する”ことが最優先。罪悪感で無理をすると、来年以降が続きません。

写真共有のタイミング

写真は“鮮度”が命。当日夜〜翌日までに“ベスト2枚+アルバムリンク”で送り、後日フォト台紙やミニブックで仕上げると喜ばれます。

  • 撮影順:全員→祖父母と孫→家族ごと(最初の15分で集中)。

  • 共有セット:ベスト2枚+短文(「今日は来てくれてありがとう。〇〇が嬉しそうでした」)→夜にアルバム。

  • プライバシー:SNS投稿は必ず可否を確認。位置情報はオフ。

  • “当日1枚だけでも先に送る”と、気持ちが温かいうちに届きます。

体調・衛生配慮のひと言

季節の変わり目は体調のブレが出やすい時期。事前に“安心感の設計”を。

  • 招待文に「滞在は2時間ほど、途中で休憩を挟みます」と明記。

  • 玄関に手指消毒・替え靴下、リビングに常温の水。香りの強いアロマや花粉が出やすい生花は控えめに。

  • お子さんの昼寝タイムは事前共有(「13時前後は静かめに」など)。

  • “安心して来てもらえる前置き”があるだけで、当日の空気が柔らかくなります。

スケジュールと会計の見える化

“いつ終わるのか”“費用はどうするのか”が曖昧だとモヤモヤの元。

  • 事前共有:開始11:30/集合写真11:40/食事12:00/解散13:30、のようにざっくりでOK。

  • 会計方針:仕出し・デリの場合は「今回は私たちで用意しました。次回はぜひご一緒に」と先に伝える。外食の場合は予算帯を共有(例:1人2,000〜3,000円)。

  • 交通:駐車場・最寄りバス停・エレベーターの有無を招待時に。

  • “見通しが分かる”だけで、遠慮や気疲れが減ります。

この5つを押さえておけば、行き違いはほぼ未然に防げます。小さな一言と段取りの共有で、来年もまた集まりたくなる心地よさが生まれます。

まとめ|祖父母との距離に合わせて“わが家らしいひな祭り”を

ひな祭りは「誰を呼ぶか」よりも、「どう過ごすか」を大切にしたい行事です。祖父母を招いてにぎやかに過ごすのも、家族だけでゆったりお祝いするのも、どちらも心のこもった素敵な形。一番の目的は、子どもの健やかな成長を願うことであり、その思いがあれば、形式にこだわる必要はありません。

大切なのは、家族みんなが気持ちよく過ごせること。忙しい中で準備が大変な年もあれば、ゆっくりお祝いできる年もあります。たとえ小さな規模でも、ひな人形を飾り、家族で食卓を囲むだけで十分に意味があります。
「立派な雛壇がない」「お祝い膳を用意できなかった」と気にする必要はありません。そのときの暮らしに合った形で祝うことが“わが家らしさ”です。

写真を撮って笑い合い、「去年より大きくなったね」と話す。そんな何気ない時間こそが、子どもにとっての幸せな記憶になります。祖父母を招いた年も、呼べなかった年も、思い出を積み重ねていくことで、家族の絆はより深まっていきます。

無理をせず、自分たちのペースで。来年、再来年と続くひな祭りが、毎年少しずつ成長を感じられるあたたかな行事になりますように。“完璧より笑顔”を合言葉に、今年のひな祭りを家族の宝物にしていきましょう。