毎年やってくる運動会。わが家も同じで、「今年こそはちゃんと撮りたい」と意気込むのですが、いざ当日になると人の多さや子どもの速さに焦ってしまい、「あれ…全部ブレてる…?」と落ち込んだ年もありました。
でも、いくつかの“撮り方のコツ”を知ってからは、スマホでもカメラでも、子どもの表情がしっかり写る写真が増えたんです。
この記事では、スマホ・ミラーレス・一眼レフそれぞれに合った設定や構図、当日の立ち回りまで、運動会撮影をラクにしてくれるポイントをまとめています。忙しいパパママでも真似しやすい内容なので、今年の運動会前にぜひ一度読んでみてください。
目次
運動会撮影の基本|まずは“立ち位置”が大事
運動会は、撮影テクニックよりも「どこから撮るか」で写真の仕上がりが驚くほど変わります。私自身、最初の頃は場所取りを深く考えずに座った結果、子どもの背中ばかりが写っていたり、肝心の表情が全然撮れなかったりと悔しい思いをした経験が何度もあります。
だからこそ、立ち位置を意識することが運動会撮影の“最初の成功ポイント”だと感じています。
子どもの“進行方向”を把握する
撮影がうまくいくかどうかは、競技ごとの動き方をどれだけ想像できるかで決まります。
スタート位置やゴール位置、カーブの向きは、プログラムや会場の線を見ただけでもある程度予測できます。
私は前日の準備日に園庭を見て、どの競技がどの方向に進むかをメモしておくようにしています。
とくに「かけっこ」は、ゴールの斜め正面に陣取るのが最強です。
真正面は他の保護者と重なりやすく、横からだと表情が見えにくいことが多いので、斜めからの角度がいちばん自然に子どもの顔を捉えられます。
さらに、走り抜ける瞬間の躍動感まで写せるのが魅力です。
余裕があれば、競技によって立ち位置を少し移動するのもおすすめ。
「ダンスは中央」「障害物競走はゴール付近」「かけっこは斜め前」など、競技ごとにベストな場所が違うため、一度決めておくと当日の迷いが減り、撮影に集中できます。
日陰・順光を意識する
写真の明るさや色味は、光の向きで大きく変わります。運動会は屋外で光が強い分、光の選び方がとても重要です。
順光(光が子どもの正面から当たる状態)は、もっとも表情がくっきり写ります。
ただ、強い日差しが続くと目を細めてしまうこともあるので、少し斜めから光が当たる位置が自然で、撮影にも向いています。
どうしても逆光になる場合は、スマホでもカメラでも露出補正を上げれば顔が暗くなるのを防げます。
背景は明るく飛ぶ場合もありますが、運動会は子どもの表情が主役。私は迷わず“顔優先”で撮るようにしています。
また、日陰に入って撮影すると光が柔らかくなり、影の出方も優しくなるので、背景がごちゃつくシーンでも落ち着いた写真になりやすいです。
「太陽の位置を見る癖をつけること」が、運動会撮影のクオリティを安定させる大きなコツです。
スマホで綺麗に撮るコツ|設定と構図をひと工夫
最近のスマホは本当に優秀で、少し工夫するだけで「え、これスマホで撮ったの?」と言われるような写真が撮れるようになります。私も運動会では荷物が多いので、メインをスマホに任せることも多いです。ここでは、初心者でもすぐ実践できて失敗しにくいコツをまとめました。
動く子どもを撮るなら“連写”と“動画併用”
運動会はとにかく動きが速いので、単発撮影だとタイミングが合わず、腕を振った瞬間や目をつぶった瞬間ばかり写ってしまうことも。
だからこそ “連写”はスマホ撮影の最強機能 なんですよね。
私はシャッターを押す前に「このへんを走ってくるな」と画角を決めておき、通り過ぎる1〜2秒前から長押しで連写を始めるようにしています。そうすると、数十枚のうち数枚は必ず“ベストの表情”を押さえられます。
さらに、動画も同時に回しておくと安心。
「連写は全部ブレてたけど、動画から切り出したら最高の1枚があった」ということが本当に多いです。
競技の途中で止まる演技などはもちろん、走り出す瞬間やゴール後の表情など、静止画では逃しやすい場面の保険にもなります。
ズームは“2〜3倍”までが安全
スマホのズームは便利ですが、デジタルズームを使いすぎると画質が一気に粗くなってしまいます。
運動会のような屋外イベントは距離があるので10倍以上にしがちですが、実はそこまで寄る必要はありません。
私は撮影の7〜8割を2倍ズームで、残りを3倍ズームで撮っています。
遠く感じても、後でトリミングすれば十分綺麗に仕上がるので安心です。
運動会の写真で「なんだかぼやける」「粗くなる」と相談を受けるときは、ほとんどがズームしすぎが原因です。
どうしても遠い場合は、思い切って構図を広めに撮っておき、編集で寄せたほうが結果的に鮮明になります。
スマホでよくある失敗を避ける工夫
スマホは軽いぶん手ブレが起きやすいもの。
そこで意識したいのが“身体で支える”という感覚です。
脇をしっかり締め、スマホを胸の前につけるように持つと、腕だけで支えるより何倍も安定します。
特に連写や望遠を使うときは、これだけで写真のブレが大幅に減ります。
また、屋外は想像以上に光が強いので「明るくなりすぎた…」という失敗もしがち。
そんなときは画面をタップして露出バーを少しだけ下げると、顔の輪郭や表情がはっきりします。逆に逆光で暗く写るときは露出を上げるだけで雰囲気がガラッと変わります。
そして、スマホ撮影で結果を左右する最大のポイントがこれ。
スマホ撮影の決め手は、“近すぎず遠すぎずの距離感を保つこと”です。
近すぎるとピントが迷い、遠すぎると表情がつぶれてしまいます。
「子どもの全身+少し余白」くらいの距離が一番安定し、後からの編集にも強い写真になります。
カメラで撮るなら押さえたい設定|一眼・ミラーレス編
せっかく一眼カメラやミラーレスを持っていくなら、その性能をしっかり引き出したいところ。設定を3つほど押さえるだけで、写真の仕上がりが驚くほど変わります。私も最初は「難しそう」と思っていましたが、一度コツをつかむと運動会の写真が一気に“残したい写真”に変わりました。
シャッター速度は1/800秒以上
運動会の子どもは、とにかく速い。本気で走る姿やダンスでの動きは、肉眼以上にカメラではブレやすいものです。
晴れの日は1/1000秒、曇りなら1/800秒以上を目安にすると、走る脚や腕の動きをしっかり止められます。
特にかけっこはスピードがあるので、できれば1/1200〜1/1600秒まで上げると安心。ISO(感度)が少し上がっても、「ブレているよりはノイズがある方が良い」と考えるほうが、仕上がりの満足度は高くなります。
また、優先モードを使うのも便利です。
・シャッター優先:「S」または「Tv」
これを選び、シャッター速度だけ自分で設定すると、明るさはカメラが自動調整してくれます。
AF(オートフォーカス)は“追尾モード”
運動会の撮影で最も頼りになるのが、AF-C(コンティニュアスAF)やトラッキングAFと呼ばれる“追尾モード”。
これは動いている被写体にピントを合わせ続けてくれる機能で、いわばカメラの“自動追跡モード”のようなもの。
かけっこで横を走り抜けても、ダンスで場所を移動しても、顔にピタッとピントが残るので、ブレ写真が激減します。
最近のカメラには「顔認識」「瞳AF」もあるので、設定できる場合は必ずオンにしておくのがおすすめ。
フォーカスが勝手に子どもを追いかけてくれるため、親は構図だけに集中できるようになります。
絞りはF4〜F5.6前後
背景をほどよくぼかしつつ、子ども全体にピントを合わせるためには、この絞り値がもっともバランスが良いです。
よく「ボケが好きだからF1.8で撮りたい」と相談を受けるのですが、開放(F1.8〜2.8)だとピントが浅く、走っている子の目にピントが合ったと思ったら次の瞬間ズレてしまうことが多いんです。
F4〜F5.6にすると、
・表情はくっきり残る
・背景の人混みは程よくボケる
という“運動会にちょうどいい奥行き”になります。
特に望遠レンズを使うとピントがさらに浅くなるため、この設定が安全です。
連写モードは“高速”に設定
運動会で一番の見せ場といえば、ゴールテープを切る瞬間や、ダンスで笑顔が弾けるタイミング。
その一瞬を確実に捉えるためには、連写が欠かせません。
・「高速連写」
・「H」「CH」などの表示
これらに設定しておくと、1秒間に何枚もの写真を撮ってくれます。
ゴール直前の一瞬は、単発撮影ではほぼ狙えません。
でも、連写の中にはほとんど必ず“これだ!”と思える1枚が残っているものです。
連写を多用するとメモリーカードの容量が減りやすいので、容量の大きいカードを入れておくと安心。
私も運動会だけは32GB以上を必ず持っていくようにしています。
構図の作り方|写真が一気にプロっぽくなるポイント
カメラ設定が完璧でも、構図が単調だと「よくある記録写真」に見えてしまいます。逆に、構図をほんの少し意識するだけで、運動会の写真はぐっとプロっぽく、思い出としての価値も高まります。私も構図に気をつけるようになってから、家族から「なんか写真うまくなった?」と言われることが増えました。
斜め前から狙うと表情が映える
運動会では、正面に立つと邪魔になりやすい上に、子どもとぶつかる危険もあります。
そこで便利なのが「斜め前」から撮る構図。顔の表情が自然に写り、動きの流れも捉えられます。
特にかけっこでは、進行方向にスペースをあけるようにフレーミングすると「走っている感」が出て、写真に勢いが生まれます。これはプロもよく使う構図のコツ。
斜め位置から狙うことで後ろの人混みがボケやすく、主役である子どもがしっかり浮き立ちます。
全身+背景を入れた“シーン写真”も撮る
運動会は競技の瞬間だけが思い出ではありません。待機列での緊張した表情や、友達と話している様子、応援席で手を振ってくれる瞬間など、シーン全体が“その日の物語”になります。
全身を入れることで動きが伝わり、背景にテント・応援席・万国旗などが入ると季節感やイベント感がしっかり残ります。
私は毎年、お弁当時間の写真を必ず撮るのですが、後から見返すと競技中の写真よりも家族の思い出として印象に残っていることが多いです。
こうした“日常と非日常の間”の写真は、スマホでも簡単に撮れますし印象的に残ります。
望遠レンズは“絵を切り取る”感覚で
望遠レンズというと「遠くをアップで撮るため」と思われがちですが、実は“余計なものを排除できるレンズ”でもあります。
望遠は画角が狭くなるため、背景のごちゃつきをカットして主役だけを際立たせるのに最適です。
運動会はどうしても人が多いので、背景に知らない人が大量に写り込むこともしばしば。
そんなとき、望遠を使って背景を整理すると、子どもの表情と動きがよりクリアに写り、写真全体が落ち着いた印象になります。
特におすすめなのが
・走り終わって息を切らす瞬間
・ダンスで笑顔がはじけた一瞬
・待機席でこちらに気づいて手を振ってくれる瞬間
といった“感情の出やすいシーン”を望遠で切り取ること。
余計な情報をそぎ落とし、主役を引き立てる“引き算の構図”が作りやすくなります。
どこを見てほしいかを決めて構える
構図を決めるとき、迷ったら「この写真で何を伝えたい?」と自分に問いかけてみるとスムーズです。
・表情を見てほしいのか
・動きを感じてほしいのか
・その日の雰囲気を残したいのか
目的が決まると、構図の選び方も自然と変わります。
そして写真に必要なのは「全部を入れること」ではなく、「必要なところだけを残すこと」。
だからこそ
構図のコツは、“どこを見てほしいかを決めてから撮ること”
この一言に尽きるのです。
当日の動き方|撮影がスムーズになる準備と工夫
忙しい運動会当日は、撮影だけに集中できるわけではありません。子どものサポート、荷物管理、並び順の確認、席取り……とにかくやることが多くて、気づけば撮影のタイミングを逃してしまうこともあります。
だからこそ、当日の立ち回り方を少し整えておくだけで、撮影の成功率がぐっと上がります。ここでは、私自身も毎年実践している“動きやすい準備と工夫”をまとめました。
競技ごとに撮る位置を先に決めておく
当日、撮影場所に迷っている時間ほどもったいないものはありません。
プログラムを事前に見ながら、
・かけっこ:ゴール斜め正面
・ダンス:正面に近い側
・障害物競走:ゴール付近または難所
など、ざっくり「自分が動く場所」を決めておくと当日の迷いが消えます。
私はスマホのメモに簡単に書いておき、会場に着いたらまずそれぞれの位置を少し歩いて確認します。「ここから娘は見えそうかな」と想像しておくと、時間に追われても落ち着いて移動できるようになります。
特に大きな園庭では、急に移動すると競技に間に合わないこともあるため、撮影位置の“事前シミュレーション”が成否を分けると言っても過言ではありません。
パートナーと役割分担する
撮影は、ひとりで全部しようとすると本当に大変です。
私の家では「私は写真、夫は動画」と自然に役割が分かれるようになりましたが、これが思った以上に効率的。
・写真はベストショットを狙う
・動画は全体の流れを記録する
この2つを同時に残せるので、見返したときの満足度がとても高くなります。
さらに、撮影方向をあえて変えるのもおすすめです。
私はゴール側、夫はスタート側…といったように、別角度から撮ると後で編集したときに立体的な思い出になります。
ひとり参加の家庭でも、祖父母や友人が来る場合は「写真だけお願い」「動画だけ撮ってくれたら助かる」と頼むと負担がぐっと軽くなります。
荷物は最小限に
運動会はとにかく移動が多く、何度も立ったり座ったりを繰り返します。
そこで大事なのが、「荷物をできるだけ軽くすること」。
三脚、大きなバッグ、折りたたみ椅子……。
持っていきたくなるものは多いですが、これらは動きの妨げになりやすく、肝心の撮影チャンスを逃す原因にもなります。
私が持っていく最低限のものは、
・スマホ
・カメラ(望遠レンズをつけたまま)
・飲み物
・タオル
だけ。
レジャーシートなど大きい荷物は事前に広げておき、撮影中は身軽に動けるようにしています。
撮影のための装備はシンプルであればあるほど、当日のストレスが減り、「ここだ!」と思った瞬間にすぐ動けるようになります。
まとめ|今日のうちに“撮影する位置だけ”決めておこう
運動会を綺麗に撮るためのポイントは、実は特別なテクニックよりも「準備」と「立ち位置」のふたつに集約されます。
スマホでもカメラでも、事前に少しだけイメージしておくだけで、写真の仕上がりが驚くほど変わります。
「どの設定が最適かな?」と悩むよりも、まず大切なのは “どこから撮るかを決めること”。
撮影の角度や光の向きが整えば、多少のブレや小さなミスがあっても、子どもの表情はしっかり写ってくれます。
今日のうちに、ぜひプログラムを眺めながら、
・かけっこはゴール斜め前
・ダンスは中央寄り
・障害物競走はゴール付近
など、「ここなら撮れそう」という場所をひとつだけ決めてみてください。
そのたった数分の準備が、当日の焦りを減らし、子どもの一生に一度の瞬間を確実に写真に残すための大きな安心につながります。
そして、撮影が落ち着くことで、あなた自身も運動会の時間をもっとゆっくり楽しめるはずです。
今年の運動会が、あなたと家族にとってあたたかく、忘れられない一日になりますように。














