赤ちゃんがつかまり立ちやよちよち歩きを始めた頃、私も「そろそろ靴を買わなきゃ」とドキドキしながらお店に向かったことを覚えています。小さな足に合うのはどれなのか、サイズはどれを選ぶべきなのか、歩きやすい素材って何?と迷いが尽きませんでした。
でも実際に専門スタッフの話を聞いたり、わが家で何足か試してみたりするうちに、選び方にはしっかりした“基準”があるのだと気づきました。この記事では、そんな私の体験もまじえながら、「初めての靴をどう選ぶと安心なのか」を丁寧にまとめています。サイズの見方、素材の選び方、慣らし方のポイントまで、これから靴選びをするご家庭の力になれたらうれしいです。
目次
初めての靴はいつ準備する?タイミングの目安
赤ちゃんの成長スピードは本当にさまざまで、「友達の子はもう靴を履いて外を歩いているのに、うちはまだで大丈夫?」と不安になることもあると思います。私も長男のときは周りと比べてしまい、靴を買うタイミングに迷いました。でも、成長のペースが違うように、靴を準備するベストな時期もその子によって変わります。ここでは、判断しやすい“サイン”と、準備しておきたいタイミングをより深く解説します。
歩き始めのサインを見逃さない
つかまり立ち → 伝い歩き → よちよち歩き、この流れが出てきたら、靴を考え始める良いサインです。特につかまり立ちが安定し、伝い歩きの距離が少しずつ伸びてきた頃は、足の筋力やバランス感覚が発達している証拠。
ここで大切なのは、「ひとりで数歩歩けるようになった=靴を買う時期」ではないということです。ひとり歩きの直前でも外遊びを始める子もいれば、室内でじっくり歩きたいタイプの子もいます。赤ちゃんの動きをよく観察して、“外で歩きそうだな”と感じたタイミングを見極めてあげてください。
室内での練習期間も大事
わが家では、よちよち歩きを始めてすぐ靴を買ったわけではなく、安全な場所でしっかりと裸足で歩かせる時期をつくりました。裸足は足裏の感覚を育てるだけでなく、踏ん張りやすさも抜群です。
赤ちゃんが裸足で歩く経験は、外靴にスムーズに移行するための大切な準備期間です。
・床の感触を確かめる
・地面をつかむ“グリップ力”が育つ
・転んでも足がしなやかに反応できるようになる
この積み重ねが、靴を履いたときの違和感を減らし、外歩きへの自信につながります。
早すぎも遅すぎも注意
早く靴デビューさせたくて、かわいい靴を見るとつい衝動買いしたくなることもありますよね。でも、歩く前に靴を履かせると嫌がる子も多く、靴そのものへの苦手意識につながることもあります。
一方で、歩くのが上手になって外遊びの機会が増えてから慌てて買うと、サイズ選びが雑になったり、急ぎで買った靴が合わずに歩きにくかったりすることもあります。
・早すぎ → 「靴=嫌なもの」と感じやすい
・遅すぎ → 外遊びのチャンスを逃しやすい
そのため、「屋外で歩く練習をしたい」と感じた頃が、もっとも自然な準備のタイミングです。赤ちゃん本人が“歩きたい気持ち”を見せてくれたときに寄り添ってあげると、靴への馴染みもぐんと良くなります。
赤ちゃんの靴選びの基本|サイズ・素材・形状
ここからは「どんな靴を選べばいいの?」というママパパの悩みにしっかり応えられるよう、初めての靴選びの基本をより深く解説します。靴売り場でたくさんの靴を前に迷ってしまったとき、判断のよりどころになる“軸”として使ってください。
サイズは「つま先1cmの余裕」が目安
初めての靴選びでいちばん重視したいのがサイズ感です。赤ちゃんは歩くたびに足が前へ滑りやすく、指先が当たると痛みにつながります。そのためつま先に約1cmの余裕があることが、歩きやすさの基本条件になります。
靴売り場にある計測器で足の長さと幅を測り、実際に試し履きをさせたうえでスタッフに見てもらうのがベストです。特に赤ちゃんは足幅や甲の高さに個性があり、「同じサイズでもメーカーによって窮屈に感じる」なんてことはよくあります。
また、赤ちゃんの足は成長がとても早く、
・0〜1歳 → 1〜3ヶ月ごとにサイズアップ
・1〜2歳 → 3ヶ月ごとに見直し
が目安とされています。
足先に余裕があるか、靴下を履いた状態でも窮屈になっていないかを定期的にチェックしてあげましょう。
素材は「柔らかくて軽い」ものを
初めての靴は、赤ちゃんが“軽く動ける”ことが最優先です。重い靴や硬い素材の靴は、足を上げるだけで負担になり、歩く練習に集中しづらくなってしまいます。
布製のベビーシューズや、しなやかな合皮素材はとても扱いやすく、柔らかくフィットします。特に、靴全体を軽く曲げたときにスッと曲がる靴は、歩く動きにしっかり追従してくれるので初めての一足にぴったりです。
重たくて硬い靴は、赤ちゃんの足の動きを妨げてしまい、転びやすくなるので避けたほうが安心です。
つま先がしっかり上がっている靴を選ぶ
歩き始めの赤ちゃんは、足を高く上げることがまだ上手ではありません。地面のちょっとした段差や凹凸につまずきやすい時期だからこそ、つま先の形状はとても大切です。
つま先が自然に反り上がっている靴は、地面をスムーズにすり抜けるように進めるため、つまずきにくくなります。実際、わが家でもつま先がフラットな靴はよくつまずいてしまい、買い直した経験があります。
・つま先が上がっている
・靴底の先端が軽くラウンドしている
こうしたデザインの靴は、歩きやすさの違いがすぐに分かるので、ぜひ店頭で確認してみてください。
かかとが安定する「ハイカット風」もおすすめ
歩き始めの赤ちゃんは、まだ足首がしっかり安定していません。歩いているとき、足が内側や外側にグラッと傾くこともよくあります。
そこで重要なのが“かかとのホールド力”です。完全にハイカットにする必要はありませんが、
・かかとを包み込むように立ち上がりがある
・横ブレを抑える適度な硬さがある
こうした“ハイカット風”のデザインは歩きやすく、よちよち歩きをサポートしてくれます。
実際に履かせてみると、歩くたびのぐらつきが少なく、安定した歩幅で前へ進めることが多いです。デザインよりも安定性を優先して選んであげると、歩く自信もどんどん育ちます。
履かせやすさも重要|ママパパが“毎日”扱える靴に
赤ちゃんの靴は、見た目のかわいさ以上に「履かせやすさ」「脱がせやすさ」がとても大事です。朝の保育園前や、玄関でバタバタしているとき、靴がうまく入らないだけで一気にイライラしてしまうこともありますよね。毎日のことだからこそ、大人がストレスなく扱える靴かどうかも、しっかりチェックしておきたいポイントです。
マジックテープは扱いやすさ抜群
広く開くマジックテープタイプの靴は、やっぱり王道の使いやすさです。甲の部分がガバッと開くので、赤ちゃんの足をスッと差し込めますし、動き回る子どもを追いかけながらでもサッと留められます。
また、足の幅や厚みに合わせて微調整できるのも大きなメリットです。厚手の靴下の日は少しゆるめに、薄手の靴下の日はしっかり留めるなど、その日の状況に合わせて調整できます。「忙しい朝でもワンタッチで履かせられるかどうか」は、ママパパ目線で見たときの大事なチェックポイントです。
甲の高さに合うか必ずチェック
赤ちゃんの足は、長さだけでなく“甲の高さ”にも個性があります。見た目は同じサイズでも、甲が高い子にはきつく感じる靴もあれば、逆にスポッと抜けてしまう靴もあります。
試し履きのときは、
・甲の部分に指を入れてみて、きつすぎないか
・マジックテープを締めたときに、皮膚が苦しそうに食い込んでいないか
を必ず確認してみてください。見た目がかわいくても、甲が合っていないと赤ちゃんにとっては“痛い靴”になってしまいます。
「赤ちゃんの足に靴を合わせる」感覚で、デザインよりもフィット感を優先してあげることが大切です。
片足ずつ丁寧にフィットを確認
お店では、面倒でも左右両方の靴を履かせてみることをおすすめします。赤ちゃんによっては、右足と左足で微妙に大きさが違ったり、片方だけ当たりやすかったりすることも少なくありません。
実際に数歩歩かせてみて、
・片足だけかかとが浮いていないか
・どちらかの足首だけグラグラしていないか
・歩くたびに靴が脱げそうになっていないか
を落ち着いてチェックしてみましょう。
その場で「ちょっと歩きにくそうだな」と感じた違和感は、家に帰ってからだともっと大きなストレスになりやすいので、試し履きの段階でしっかり見ておくと安心です。
外での“歩きやすさ”は底の柔らかさで決まる
赤ちゃんが外で歩くときに一番影響を受けるのが、実は“靴底(ソール)”です。外遊びは地面の変化が大きく、室内とはまったく違う刺激がたくさんあります。だからこそ初めての靴選びでは、靴底の硬さ・厚さ・曲がり具合をしっかりチェックすることが、歩きやすさにつながる大きなポイントになります。
薄すぎず、厚すぎない底を選ぶ
靴底が薄すぎると、地面の凹凸や衝撃がそのまま足裏に伝わり、赤ちゃんにとって負担になります。逆に厚すぎる靴は重く、足首の力が弱い赤ちゃんには扱いにくく、歩幅が極端に狭くなったり、前に進みにくく感じたりします。
赤ちゃんに合いやすいのは、
・地面の感覚はほどよく伝わる
・でも衝撃はしっかり吸収してくれる
そんな“ミドルタイプ”の厚みを持つ靴底です。
お店で靴を持ったとき、軽く曲げてみてください。つま先から1/3くらいの位置で自然にスッと曲がれば、歩く動きに無理なくフィットしてくれる証拠です。
指の力で軽く曲がるほどの柔らかさが、初めての靴には最適です。
すべりにくい加工のものが安心
外歩きでは、砂利道、コンクリート、芝生、ウッドデッキなど、場所によって摩擦の違いが大きく変わります。大人にとっては何でもない地面でも、歩き始めの赤ちゃんにとっては予測できない世界。
だからこそ靴底には、
・細かな溝
・ラバーのすべり止め
・設置面が平らすぎないデザイン
など、しっかりとしたグリップ力が必要です。
とくに公園デビューのときは滑りやすい場面が多いので、すべり止め効果がある靴は安心感が違います。つまずきや転倒のリスクを減らすためにも、靴底の“溝”や“凹凸”は必ず確認してみてください。
試し歩きでかかとの浮きをチェック
靴底の柔らかさだけでなく、実際に歩いたときのフィット感も大切です。お店で試し履きをしたら、少し歩かせてみましょう。
チェックしたいポイントは、
・歩くたびにかかとが浮いていないか
・靴の中で足がガポガポ動いていないか
・つま先が地面に引っかかっていないか
かかとが浮いてしまうと、赤ちゃんは「靴が脱げるかも」という不安から、全身に力を入れて歩いてしまいます。その姿勢が歩きにくさにつながり、転倒の原因にもなります。
試し歩きで感じる小さな違和感は、毎日の外歩きでは大きなストレスに変わるので、必ずその場でチェックすることが大切です。
初めての靴に慣れるためのステップ|“家の中”から始めるとラク
いざ靴を買っても、赤ちゃんがその日からスムーズに外を歩けるとは限りません。むしろ、ほとんどの子が最初は靴を嫌がったり、足を固めて動かなかったりします。これは決して “靴が合っていないから” ではなく、ただ単に 「足に何かついている感覚に慣れていないだけ」 ということがほとんど。
焦らず、少しずつ段階を踏むことで、赤ちゃんも自然と「靴=歩けるもの」と理解してくれるようになります。
室内で短時間からスタート
まずは安心できる家の中で、5〜10分ほど軽く履かせてみることから始めます。
最初は、
・その場で立つだけ
・一歩も動かない
・座り込んでしまう
といった反応もよくありますが、まったく問題ありません。
裸足との違いに戸惑っているだけなので、最初の数日は「靴を足に触れさせる練習」と思ってゆっくり向き合うのがおすすめです。
“歩かせようとする”のではなく、“足に靴をつける時間をつくる”くらいのイメージがちょうどいいです。
慣れてくると、靴を履いたまま数歩動いてみたり、興味のあるおもちゃのほうへ歩き出したりと、自然と動きの幅が広がっていきます。
外での練習は平らな場所から
室内で靴の存在に慣れてきたら、次は外での練習。とはいえ、いきなり公園の砂場やデコボコ道はハードルが高いので、まずは平らな場所を選びます。
・マンションのエントランス
・広場の平らなコンクリート
・芝生でも起伏の少ない場所
このあたりが練習にぴったりです。
段差や砂利道は、赤ちゃんが歩く楽しさを覚えてからで大丈夫。「今日はこれで十分!」と思えるくらい、小さな成功を積み重ねることで、歩く自信がどんどん育っていきます。
歩かない日があっても気にしない
よくあるのが、「昨日は楽しそうに歩いたのに、今日は全然歩かない…」という日。わが家も何度も経験しました。天気や気分、眠気や空腹など、赤ちゃんはその日のコンディションで歩きたくない日があって当然です。
そんな日は、無理に歩かせず抱っこで過ごしてOK。
翌日になればケロッと歩き出すことも多いので、深く気にする必要はありません。
赤ちゃんのペースを大切にしながら“靴を履くことは楽しい”という体験を積み重ねていくことが、いちばんの近道です。
まとめ|今日の外出で“試し履き”をひとつだけしてみよう
初めての靴選びは、赤ちゃんにとって歩く世界が一気に広がる大切なステップです。どの靴がいいのか迷ったり、サイズ選びに自信が持てなかったり、ママパパにとっても小さなドキドキがつきまとう瞬間。でも、気にするべきポイントをしっかり押さえておけば、迷いはぐっと減らせます。
とくに
「柔らかくて軽い」「つま先に1cmの余裕」「履かせやすい」
この3つが揃っていれば、赤ちゃんが最初に履く靴として大きな失敗はありません。歩きやすさやフィット感に直結する大事な要素なので、靴売り場ではまずこの3つをチェックしてみてください。
「どれが合うのかよく分からない…」と思うとつい後回しになりがちですが、まずは1足だけで大丈夫。今日のお散歩ついでに、近くのお店で気になる靴を手に取ってみてください。試し履きをするだけでも、靴の硬さや重さ、足を入れたときの反応がよく分かり、赤ちゃんに合う基準が自然と見えてきます。
赤ちゃんと一緒に選ぶ時間は、少し先の「外歩きデビュー」へつながるワクワクした準備期間でもあります。小さな一歩を積み重ねながら、あなたと赤ちゃんの初めての靴選びが、心に残る優しい思い出になりますように。














